まぁ、ほぼ交響曲作家として認知されているグスタフ・マーラーなんですが、それ以外の遺された仕事はほぼ歌集だけ。交響曲の中にも独唱、合唱を問わず声楽を含むものが大変多く、マーラーを聴いていくうえで避けて通れない。
声楽付き交響曲は、
第2番 ソプラノ、アルト、混成合唱
第3番 アルト、混成合唱
第4番 ソプラノ
第8番 ソプラノ×3、アルト×2、テノール、バリトン、バス、児童合唱、混成合唱
声楽曲は、
カンタータ「嘆きの歌」 ソプラノ、アルト、テノール、バリトン、混成合唱
交響曲「大地の歌」 アルト、テノール
若き日の歌 歌手指定なし、ピアノ伴奏またはオーケストラ
さすらう若人の歌 低域歌手、ピアノ伴奏またはオーケストラ
少年の魔法の角笛 歌手指定なし、ピアノ伴奏またはオーケストラ
リュッケルトの詩による5つの歌曲 歌手指定なし、ピアノ伴奏またはオーケストラ
亡き子を偲ぶ歌 歌手指定なし、ピアノ伴奏またはオーケストラ
歌集は声域が指定されておらず、またほとんどは順番の組み合わせは自由になっているものがほとんどで、いろいろなバリエーションが可能になっています。
そこで、どうせなら歌手はできるだけお気に入りで聴いてみたい。
自分の場合、声楽のスターはダントツでアンネ・ソフィー・フォン・オッター。やはり、声楽の苦手意識を最初に無くしてくれた大いなる「功績」があって、ガーディナー、アバドとの競演が多いので聴く機会が多い。
バロックから現代音楽、さらにポップスまで、守備範囲がものすごく広いフォン・オッターのキャリアの中から、マーラー作品を抜き出してみます。
自分名義のアルバムは、ガーディナー指揮、NDR交響楽団でゼレメンスキーの歌曲とのカップリングがあります。ここでは、「さすらう若人の歌」と「リュッケルト歌集」の全曲が収録されています。また「ボルフ / マーラー歌曲集」には「若き日の歌」から6曲と「子供の魔法の角笛」から4曲を歌っています。
ブーレーズ指揮、ウィーンフィルでは、「マーラー歌曲集」のアルバムに、「亡き子を偲ぶ歌」全曲が含まれます。そして、交響曲第3番の独唱にも起用されています。
アバド指揮、ベルリンフィルは、何と言ってもアバド唯一の交響曲第8番の独唱歌手の一人がフォン・オッターです。そして、トーマス・クヴァストホフとの共演で「原光」を含めた「子供の魔法の角笛」全13曲があります。また配信のみですが、ヨナス・カウフマンとの共演で「大地の歌」が視聴可能です。
主要作品は、ほぼ揃いました。フォン・オッターの歌声だけでマーラーを聴きこむというのも、マニアならでは楽しみ方かもしれません。
最近は、同じメゾソプラノとして日本人の藤村実穂子が世界的に活躍しており、マーラー作品でも積極的に仕事をしていて注目です。