こうやってルツェルン音楽祭のクラウディオ・アバドの話ばかりを書いていると、まるでベルリンフィルを辞して残された10年余り、アバドはマーラーばかり演奏していたかのようですが、もちろんそんなことはあのません。
アバドにとっては、ベルリンフィル時代より、自由に好きなことを好きなように楽しむ充実した期間でした。その代表的な仕事の一つが、アバドを敬愛して集まってくる仲間とのルツェルンでのマーラーだったということ。
もともとレパートリーには事欠かない人ですが、少なくともルツェルンでの11年間だけでも、様々な音楽を指揮しています。
2003年8月 ワグナー、ドビッシー、バッハ、マーラー#2
2004年8月 R.シュトラウス、ワグナー、ベートーヴェン(#4 ポリーニ)、マーラー#5、ヒンデミット、ベートーヴェン#1
2005年8月 ベートーヴェン(#3ブレンデル)、ブルックナー#7、ベルグ、シューベルト、マーラー#7、ノーノ、ワグナー
2005年10月ローマ ベートーヴェン(#3アルゲリッチ)、ブルックナー#7、シューマン(ポリーニ)、マーラー#7、ノーノ
2006年8月 モーツァルト、マーラー#6、マーチン、ベルリオーズ、ヴェルディ、ブラームス(#2ポリーニ)、ブルックナー#4
2006年10月東京 モーツァルト、マーラー#6、ブラームス(#2ポリーニ)、ブルックナー#4
2007年8月 ベートーヴェン#9、マーラー#3
2008年8月 ドビッシー、ラベル、ベルリオーズ、ラフマニノフ(#2グリモー)、チャイコフスキー、ストラヴィンスキー、ベートーヴェン(#4 ポリーニ)
2009年8月 プロコフィエフ(#3ワン)、マーラー#1、マーラー#4、リュッケルト歌曲集、モーツァルト
2010年8月 フェディリオ、マーラー#9、
2011年8月 ブラームス(#1ルプー)、ワグナー、マーラー#10、モーツァルト#35、ブルックナー#5
2011年10月欧州ツアー モーツァルト#35、ブルックナー#5、シューマン(内田)、
2012年8月 エグモント、モーツァルト・レクイエム、ベートーヴェン(#3ルプー)、ブルックナー#1
2012年9月欧州ツアー モーツァルト(#17ホリーニ、ピレス)、ブルックナー#1
2013年8月 ブラームス、シェーンベルグ、ベートーヴェン#3、シューベルト#7、ブルックナー#9
2013年8月26日の最後のコンサートの後、10月に日本ツアーが組まれていましたが、アバドの体調が悪くキャンセルされました。アバドが生涯最後に振ったのはブルックナーの最後の未完の交響曲第9番だったのです。
この最後の演奏は、CDとしてドイツグラモフォンからすでに発売されています。好き嫌いにかかわらず、ある種の感慨を持たずに聴くことはできません。
それはさておき・・・ブルックナーです。
ベートーヴェンで結晶化した交響曲というジャンルを行く着くところまで高めたのがマーラーであり、彼を含めて後期ロマン派というくくりの中で活躍した作曲家というと忘れてならないのがブルックー。
マーラーよりは少し早い時代で、どちらかというとブラームスがライバル。基本的にいくつかの宗教曲と9つの交響曲しか作らなかった。そして、長大な曲が多くて、もともとマーラーが苦手だった自分は、当然ブルックナーも苦手です。
ルツェルンのアバドを集めていたら、当たり前のようにブルックナーも向こうから寄ってきた。上のリストを見ると、ブルックナーの交響曲については#1、#4、#5、#7、#9の5曲が演奏されています。
実は、アバドのブルックナーのレパートリーとしては、過去に主としてウィーンフィルと録音していますが、#2、#3、#6、#8は演奏していません。どこかのライブでやっているのかもしれませんが、ルツェルンでのアバドは自分のブルックナーはすべて再演しています。
毒を食ったら皿まで・・・みたいな話で、好きな人には申し訳ありませんが、こうなったら行くしかありませんね。