2019年10月16日水曜日

Claudio Abbado LFO / Mahler Symphony #3 (2007)

演奏時間が長い曲というのは、今ではやたらとあって、そのほとんどは現代音楽です。何日もかかるとか、自分に言わせると作曲家のエゴであって、「音を楽しむ」というよりは苦痛でしかない。

まぁ、まっとうに聴けるものとしては、ワグナーの楽劇は長い。ただし、休憩あり。バッハのマタイ受難曲も3時間以上かかりますが、途中休憩があります。

休憩無しで一気に聴くものとしては、マーラーの第3番は一時は最長の交響曲としてギネスにも載っていたらしい。

第2番もだいたい90分かかるので十分に長いのですが、第3番は100分くらいかかる。もしも、モーツァルトの交響曲が100分あったら・・・たぶんだれまくるかもしれません。

マーラーの交響曲を繰り返し聴いていると、確かに最初は長くてなかなか集中力が続かなかったのですが、だんだん面白くなってきたというのは・・・山あり谷あり、海あり川あり、晴れ間がでたかと思うと嵐になるから。

そんなバラエティに富んだ、長編小説のようなたくさんの起伏があり、随所に耳に残るメロディが出てくる点が、たしかに面白いと思えるようになりました。

それを実演するには、演奏する側の持続する体力と集中力が必要ですし、聴く側にも同じことが求められる。

アバドのルツェルン音楽祭での2007年は、その交響曲第3番が映像になっていのす。

第3番では、冒頭からマーラーらしいホルンの超かっこいいメロディが登場し、低音と打楽器による「ずっ、どん」というリズムの刻みがかぶってくる。もう、一気にマーラー・ワールドが炸裂します。

30分かかる第1楽章がびしっと終わると、ちょっと可愛らしい第2楽章とおどけた感じの第3楽章であわせて30分。ここまで1時間座って出番を待っていたのが、メゾソプラノの歌手の方です。

ここではアンナ・ラーションが起用されています。この方は国際デヴューが1997年で、アバド指揮ベルリンフィルのマーラー第2番だったそうです(1996年の日本公演ではマリアンナ・タラーソワ)。以来、アバドとの共演が多い。

多くを歌うわけではないのに、強い印象を残す役どころ。第4楽章に入るとこどもの合唱も加わって楽し気な雰囲気に。そして最終楽章はゆったりとした中に次第に盛り上がり大円団を迎えます。

いやいや、長かった。でも楽しかった。演奏する皆さん、指揮をしたアバド、お疲れさまでした。そして、聴く自分も。