グスタフ・マーラーは、オーストリアで1860年に生まれ、1911年にわずか51才で亡くなっています。
今では最強の「交響曲作曲家」として絶大な人気を誇っていますが、初演時は自作に対する批判も多く、評価が定まったのは1970年代以降のこと。
何しろ活動期間が長いとは言えず、残された曲の数も大変少ない。完成された楽曲は、交響曲といくつかの歌集だけです。
つまり、
交響曲は第1番~第9番、
交響曲「大地の歌」、
合唱曲(カンタータ)「嘆きの歌」、
歌集「若き日の歌(14曲)」、
歌集「さすらう若人の歌(4曲)」、
歌集「少年の魔法の角笛(12曲)」、
歌集「リュッケルトの詩による歌集(5曲)」、
歌集「亡き子を偲ぶ歌(5曲)」
ですべて。
これに演奏可能な断片的なものとして、
交響曲第10番第1楽章、
花の章(交響曲第1番第2楽章、後に削除)、
交響的前奏曲(偽作の可能性あり)、
ピアノ四重奏曲(1楽章のみ)
があるくらい。
えっ? これだけ? と思わず言いたくなるほど少ない。それだけ、作曲については交響曲にエネルギーを注ぎつくしたということなのか、交響曲の濃厚な作りは全音楽史を通じて他の追従を許しません。
バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどの過去の大作曲の全集のCDはいろいろありますが、いずれも膨大な枚数を要し、一生かかっても全部を本気で聴くことは無理じゃないかと思ってしまいます。
ところがマーラー全集は、生誕150年記念として、ドイツグラモフォンから出たものでCD18枚、EMI(現ワーナー)のものがCD16枚。山ほどある交響曲全集はどれも、いくつかの歌集を含むものが多く、いずれもCD10~14枚程度。コレクターとしてはコンプリートしやすい作曲家と言えます。
これらの全集は、曲によって演奏者は異なりますが、どちらも数千円で手に入りますので、とりあえずという時には大変魅力的。
DGはカラヤン、メータ、ハイティンク、バーンスタイン、アバド、ショルティなどが集結。EMIはバルビローリ、フルトヴェングラー、ジウリーニ、クレンペラー、ラトルなどなど。もう、そうそうたる面子が揃っていますので、どれをとっても聴くべき価値は十分ありそうです。