60年代後半から始まり、70年代に世界中に広がった女性の権利解放運動がウーマンリブ(Women's Liberation)でした。今は、女性に限らずLGBT全体も含めての権利獲得運動が続いており、女性に特化した表現は過去の物になっています。
ウーマンリブが主題ではありませんが、そういう時代の空気とうまくマッチしたことで、アメリカン・ニューシネマの恋愛部門の代表作となった作品です。中島みゆきは大ヒットした「糸」で男女のめぐり逢いを縦と横に糸に例えましたが、この映画では布に織られることが無く、そのまま縦は縦のまま、横は横のまま伸びていくのです。
監督はシドニー・ポラック。原案と脚本がアーサー・ローレンツで、ローレンツは政治色の強い女性活動家をメインにした内容を作り上げましたが、ポラックは男女のロマンスを中心にしようとして対立しました。結果としては、学生運動主体であればすでに「いちご白書」のような秀作が登場していたので、ポラック趣味が適度に混ざったことでこの映画独自の世界が表現されたと言えそうです。
主役は、理想主義者で政治的主張が強いケイティは、ユダヤ系アメリカ人で歌手としても名をあげていたバーバラ・ストライサンド、いわゆるノンポリで皆の人気者であるハベルは、70年代を代表するイケメン俳優のロバート・レッドフォードがそれぞれ演じています。
レットフォードは、すでに「明日に向かって撃て」、「スティング」などで人気はうなぎ上りでしたし、ポラック監督との相性も良く、この後多数の作品に出演しました。
第2次世界大戦前、学生時代に知り合い別々に歩んでいたケイティとハベルは、戦後に偶然再会し、恋人同士氏となり結婚します。ハベルは脚本家になり、明るく楽しく生活し、ある程度いい加減なところもある。一方、学生の頃から政治活動をしていたケイティは、几帳面でハベルの仲間たちの軽いところが好きになれない。
50年代になると、いわゆる「赤狩り」が始まり、ハベルが盗聴器を仕掛けらたのをきっかけに、ケイティは政治運動を再開するのです。二人は関係はどんどん離れ、ついには別れることになりました。それから何年もたち、政治活動中のケイティは偶然にハベルと再会しますが、両者とも新しいパートナーを見つけて別々の人生を歩んでいて、再び交わることはありませんでした。
ハベルのブルジョアとしての調子の良いところと、ケイティの理想に走る青臭さは、どちらもわかる気がします。そして、あまりにも正反対の二人が、ハッピーエンドにならないことは当然といえば当然。ハベルにあと少しの忍耐、ケイティに妥協する勇気が無かったということでしょうか。
テーマ曲はストライサンド自ら歌い大ヒットし。今ではポップスのスタンダードとして知らない人はいないと思います。あの頃の思い出はいろいろあったけど、もう交わることのない二人は別々の道を生きていくという内容を切々と歌い上げています。
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