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2021年1月10日日曜日

M:I-5 ローグ・ネーション (2015)

トム・クルーズ主演、スパイ物アクション映画のシリーズも5作目となりました。

監督はクルーズの映画で脚本を数多く手がけたクリストファー・マッカリーが起用され、前作に続いてJ・J・エイブラハムが制作で参加しています。タイトルの"rogue nation"は無法国家、あるいはならず者国家という意味。

今回のキャスティングでは、唯一全作品で登場するルーサー(ヴィング・レイムス)が作戦に参加し、3作連続のベンジー(サイモン・ペッグ)、前作に続いてのブラント(ジェレミー・レナー)らがチームに登場するため、シリーズとしての楽しみが増しています。

またクルーズ自ら行うスタントも冒頭から全開で、本作の象徴的なシーンとなった飛行機の外側にとりついて離陸してしまうというアクションには度肝を抜かれます。当然、万全の対策のもとで撮影しているんでしょうけど、実際にかなりの時間飛行したのは本当のようです。ところが、このスタントは映画の開始の合図程度のもので、ほぼ使い捨てなのがさらに驚きです。

ストーリーは複雑で、これまでは個々の裏切り者による陰謀が多く、やっと前作でやっと普通の善対悪の図式に戻ったように思えましたが、今回はもっと大がかりな「裏切り」のため、イーサン・ハントがさらなる孤立無援状態で戦うという話。

前作の最後で、これからシンジケートとの闘いが始まると予告されていました。シンジケートは、国籍関係なく死亡したか、あるいは行方不明となった元スパイとして活躍した者たちの集合体で、国家と無関係に世界中でテロを起こしている闇の組織・・・つまりローグ・ネーションです。

ハントはIMFからのいつもの指令を受けようとしますが、これが偽物でシンジケートに拉致されました。しかし、敵のはずのイルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)の手引きで脱出することができました。しかし、IMFの上部組織であるCIAのハンリー長官は、シンジケートはIMFが組織の存続を正当化するための架空存在と考え、暴走するIMFを解体し、ハントを国際手配します。

シンジケートの存在を確信したハントは、イルサを探して合流したベンジーと共にウィーンに向かい、イルサが実はイギリス諜報部の潜入スパイであることを知りますが、オーストリア首相の暗殺を阻止できませんでした。

イルサは、シンジケートの中心人物はイギリスの元スパイ、ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)であり、モロッコの発電所地下に厳重に保管されているデータによりシンジケートの存在を証明できると教えます。しかし、危険な潜入の末に何とか手に入れたメモリーは、イルサに奪われてしまうのです。

イルサはイギリス情報部にメモリを渡し任務を終了にしてもらおうとしますが、アトリー局長にそれが本物かわからないと拒否されます。レーンのもとに戻りメモリーを渡しますが、実はアトリーの手によって内容は遠隔消去されており、窮地に立たされるのです。

用意周到なベンジーはコピーを作っていたので、ルーサー、ブラントらも合流しメモリーを調べると、セキュリティ解除のためにはイギリス首相の肉体的な三重認証が必要であることが判明します。しかし、ベンジーがレーンに拉致され、解読済みのデータを要求されたハントは・・・さぁ、どうする!?

ヒロインのイルサが、敵なのか味方なのか、助けられたり裏切られたりという微妙なバランスが興味深い。また、シンジケートの成り立ちや存在理由に、多少説得力にかけるところはありますが、あくまでもハントが活躍するためのきっかけ、つまり壮大なマクガフィンという位置づけ。

かなり構成に凝ったところがありますが、監督のマッカリーはストーリーとアクションのバランスをうまくこなしており、適度な緊張感を持続させています。とは言え、このシリーズは、もう完全にトム・クルーズを見るための映画と化しています。もちろん、それが「かっこいい」ので文句のつけようはありません。何しろ撮影時53才ですから、明らかに本人が自ら行いスタントの数々には恐れ入る。これだけ動ける中年おじさんには、多少の映画の矛盾などは消飛んで脱帽するしかありません。