スティーブン・スピルバーグのの監督作品を順番に全部見ようという・・・何しろ、良く言えばバラエティに富んだ作品群、悪く言えばジャンルがめちゃくちゃなので、正直言って進んで見たいなと思う物と、どうも気乗りがしない物が混在しているんです。
特に、子供向け、あるいはファンタジー色の強い作品は、ちょっと敷居が高い。例えば「ビターパン」だとか、「ピノキオ」がモチーフというだけで、できることなら後回しにしたくなる。ただ、本当に後回しにするとたぶんそのまま見ない。
自分が決めた順番にというルールがあるから、何とか見ようかということになります。インディ・ジョーンズ・シリーズの後、ちょっと横に置いておいたのがこの映画。
そもそもタンタンって、ベルギーの漫画家エルジェの作品が原作。日本でも、誰もが目にした事があるキャラクターです。少年記者のタンタンが、愛犬スノーウィと共に世界中で冒険をする話。
スピルバーグは、少年向けインディ・ジョーンズという位置づけをして、最初のインディ物の映画以降、ずっと温めてきた企画です。
ただし、この映画の取っつきにくい所は、簡単に言えば3Dアニメーション作品だということ。元が漫画ですから、アニメ化するのはあり・・・なんですが、そこはスピルバーグ、モーション・キャプチャー技法をフルに使った、アニメと実写のあいの子みたいな仕上がりにしました。
モーション・キャプチャーは、人物にたくさんの動体検知センサーを装着し、立体的な動きをパソコンでトレースする手法。3D化したCGのキャラクターを、実際に演技をする俳優の動きに合わせて動かすことで、CGがとてもリアルな動きを再現できます。
ですから、実際に俳優がキャスティングされていて、主役のタンタンはジェイミー・ベル、ハドック船長はアンディ・サーキス、悪者サッカリンはダニエル・クレイグ、そして刑事デュポンはサイモン・ペッグという具合。画面に出てくる顔は俳優とは必ずしも同じではなく、リアルっぽいけど漫画的という不思議な感じです。
「ロード・オブ・ザ・リング」でふんだんにモーション・キャプチャーを多用したピーター・ジャクソンが全面的に協力して仕上げています。ちなみに、スピルバーグとしては、初めての3D映画になりました。
そんなわけで、確かにスピルバーグらしい冒険活劇が展開するのですが、中途半端なリアル感の世界に入っていけるかどうかは個人の好き好きで、自分の場合はあまり気に入ったとは云い難い結果に終わっています。