その中で、キャストを全員黒人にしたブロードウェイ・ミュージカル「ザ・ウィズ」は、1975年のトニー賞を総なめにして大ヒットになりました。当時、ブラック・ミュージックの総本山だったモウタウン・レコードは、早速、映画化権を取得しました。
監督はアカデミー名誉賞に輝く名匠シドニー・ルメット。舞台でのチャーリー・スモールズの主な楽曲はそのままに、クインシー・ジョーンズが手を加え、よりポップな出来映えの音楽が聴きごたえがあります。
キャストは、主役のドロシーには、自ら半ば強引に売り込んだダイアナ・ロス。当時のモウタウンの稼ぎ頭であり大スターです。かかしには、やはり人気急上昇中のマイケル・ジャクソン。マイケルは、この映画でクインシーと出会い、タッグを組んだことでその人気が爆発的なものになりました。
リアルタイムでも最高のキャスティングで、さぞかし凄いヒットを飛ばしたのかと思うと、他の関連映画と同様に興行的には大失敗。巨額な制作費を回収できず、批評家たちからもボロカス扱いされました。
最大の理由は、34才のダイアナ・ロス。16才だったジュディ・ガーランドでさえ、よりこどもの役作りに苦労したというドロシー役ですから、いくら設定を学校の先生に変えても、無理があるというものです。言ってみれば、吉永小百合が「おしん」の子供時代を演じるようなもの。
すでに少女としてドロシーは国民的なイメージが出来上がっていいたので、いくらダイアナ・ロスが歌唱で評価されても、これを受け入れることは難しかったようです。
しかし、スタジオとニューヨークの各所での大がかりなロケ、今でも通用する斬新なダンス・シークエンス、そしてマイケル唯一の映画出演などにより、その価値はじわじわと認められ、いわゆるカルト映画として命をつないでいます。
実は、まだビデオが普及していなかった時代で映像は見ていなかったにもかかわらず、自分は2枚組のサントラ・レコードを持っていました。まさに二人の人気歌手の競演という理由だけで買ったんですが、音楽だけでもわくわくして大変楽しかったものです。
今では簡単に高画質で映像を簡単に楽しめるなんて、思いもよりませんでした。あらためて見ると、やはりマイケルはすごい。そしてダイアナ・ロスの演技は、表情や台詞がオーバー・リアクションで見るに忍びない。巨大なピアノを演奏しているのが、実はクインシーというのが発見だったりします。
というわけで、マイケル・ジャクソン、モウタウンの音楽のファンは一見の価値がある映画ということでいいんじゃないでしょうか。
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2021年1月17日日曜日
ウィズ (1978)
映画「オズの魔法使」のヒットもあり、この話をモチーフとした派生作品はこれまでにたくさん作られています。しかし、1939年の映画のインパクトが強すぎるためか、どれも成功とは云い難い。