今回の監督は、「スター・トレック」シリーズや、また「スターウォーズ」最新シリーズ3部作で、今やハリウッドでお金を生み出す監督の一人に数えられるJ・J・エイブラムス。
前作で恋をするスパイとして人間味を出したイーサン・ハントでしたが、ここではさらに何歩も進んで、いきなり冒頭、女性を殺すと脅迫され泣いて辞めてくれと懇願するシーンから始まります。
何でそんな状況になったかということで、時間を戻してストーリーが進行するわけですが、冒頭のシーンを見せられているので、ハントが無茶をしてでも勝手な行動をするのはしょうがないと思わせることに成功しています。
ハントは現場を退いて訓練教官になっていましたが、「ラビットフット」と呼ばれる新兵器を狙っている武器商人のデイヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)を監視していた教え子のファリスが拉致され、上司のマスグレイブから救出作戦への参加を指示されます。
ハントは病院の看護師をしているジュリア(ミシェル・モナハン)との結婚を控えていましたが、1日だけ出張と偽りベルリンに向かいます。チームはシリーズ・レギュラーのルーサー(ヴィング・レイムス)、ゼーン(マギー・Q)、デクラン(ジョナサン・リース=マイヤーズ)の三人。
何とかファリスを救出した物の、頭蓋内に埋め込まれた爆弾によりファリスは死亡。ラビットフットについての情報も得られませんでした。IMFの局長であるブラッセル(ローレンス・フィッシュバーン)は、ずさんな計画だとチームを叱責します。
次にハントらは独自にバチカンでデテヴィアンを捕らえることに成功しますが、IMFに連行する途中で強大な火力を擁する部隊に攻撃されデイヴィアンを奪還された上、ジュリアを誘拐され48時間以内にラビットフットを持ってこないと殺すと脅迫されるのです。
ハントは勝手な行動とその失敗によりIMFに連行されますが、マスグレイブの手引きで逃亡し、チームは上海で再集結。大企業の研究施設からラビットフットを盗み出し、ハントは一人でジュリアが捕らえられている場所に向かいました。
ここからが冒頭のシーンになるわけですが、ハントも爆弾を頭に埋め込まれジュリアを殺される絶望を味わいます。そこへ登場するのがマスグレイブで、殺されたのは変装した別人だったことが明かされます。デイヴィアンと通じていたマスグレイブは、ファリスが持っていたはずの裏切り者についての情報を聞き出そうとしますが、ハントは脱出しジュリアがいる場所に向かいます。しかし、頭の爆弾が起動してしまうのでした!!
・・・と、まぁ、こんな具合でシリーズ名物のアクションも随所に見られるものの、愛する人を守るというヒューマン・ドラマ的な要素を強く打ち出した作品になりました。結局ラビットフットそのものについては最後までよくわからないのですが、これはいわゆるヒッチコック流の「マクガフィン」であって、物語を始めるきっかけであって、中身はどうでもいいもの。
ヒッチコックお得意の間違えられて事件に巻き込まれていくサスペンスの常套手段ですが、この作品でも、妻のジュリアを巻き込んで、ハントは本来やりたくない仕事に引きづり込まれていくところは秀逸な構成です。冒頭シーンも、二度目は胆となるところだけを繰り返すにとどめ、丸々同じシーンを繰り返さないのは正解。
それにしても、一作目では裏切り者にやられるしハントに機密情報を盗み出され、2作目でも裏切りにあいました。今回も、内部に裏切り者がいてハントには施設内から逃亡されるというのは、IMFってどんだけザルな組織なんですかということ。内輪のしくじりで話を作っていくのは、どうも残念な感じがします。