というほどのものではありませんが、スピルバーグが自ら監督し続けているインディ・ジョーンズ・シリーズの第4作、前作から19年ぶりの登場です。
映画の設定も19年が経過していて、1957年の出来事として描かれます。さすがに主演のハリソン・フォードは撮影時に65才ですから、スタントを入れたとしてもあまり激しいアクションは嘘過ぎる。
そこで登場するのが、これまでのシリーズだけでなく、いろいろな身近な映画からのオマージュなどで、オールド・ファンを喜ばせてくれる。何と言っても、第1作のヒロイン、マリオン・レイヴンウッド(カレン・アレン)の再登場は嬉しい限りです。
スタートから、いきなりルーカスの監督出世作「アメリカン・グラフィティ(1973)」さながらの50年代アメリカン・ボーイズ&ガールズがオープンカーで飛ばしてはしゃいでいるのは楽しい限り。
彼らにあおられるアメリカ軍の車両は、そのまま軍事秘密の保管庫であるエリア51基地に向かいます。実は、彼らは冷戦下のソビエトの兵士たちで、守衛を射殺して倉庫に到着。車から無理やりだされたのがインディ・ジョーンズでした。リーダーは女性で冷徹なスパルコ大佐(ケイト・ブランシェット)。
ジョーンズが関わった1947年のロズウェル事件で見つかった謎の物体の保管場所を教えろと詰め寄ります。ちなみにロズウェル事件は、実際にあった話で、宇宙人の遺体を捕獲したらしいというもの。ここで格闘になり、崩れた箱の中からアークがチラ見えるのは大サービスです。
目的の物は奪われ、ジョーンズは何とか逃げ出しますが、何故かマネキンだらけの街に。まるで今どきのMattのCMの「オーマイキー」の世界。実はこれは核実験場で、爆発のカウントが始まり、ジョーンズは鉛製冷蔵庫の中に入って生還するという奇跡を見せてくれます。ただし、この核爆発シーンは唐突で意味がわからない。
この時代のアメリカは共産主義者をとらえる赤狩りの時代。ソビエトと関わったジョーンズも疑いをかけられ国外脱出をすることになります。この時机には、ショーン・コネリーら歴代のキャラの写真が飾ってある。そこへ登場するのはまさに「乱暴者(1953)」のマーロン・ブランドさながらの、バイクに乗ったマット(シャイア・ラブーフ)と名乗る若者。
マットは、ジョーンズの旧友のオックスリーが行方不明で、母親のマリオンが助けを求めているという話。託された手紙から、オックスリーは南米の奥地、伝説のエルドラド(黄金郷)にクリスタル・スカル(水晶の頭蓋骨)を持っていこうとしていたらしい。
ここでもKGBに襲われますが、「ウエストサイド物語(1961)」さながらの若者グループの喧嘩を引き起こしてその場を逃げ出す。ちなみに現在準備中のスピルバーグの最新作が、そのリメイクです。
南米に向かったジョーンズとマットは、スパルコに捕らえられていたオックスリーとマリオンと再会。マリオンは、ジョーンズが結婚式直前に逃げ出したため、言いそびれていたがマットは二人の間に生まれた子であることを告げます。つまり、マットはヘンリー・ジョーンズ3世ということが判明し、皆で逃げ出すところでは、肉体的なアクションは若者マットが「ターザン」のように頑張っています。
ジョーンズらはクリスタル・スカルがもともとあった神殿の中に入ると、そこには何体ものクリスタルの骸骨が鎮座している。そこへ追いかけてきたスパルコにスカルを奪われ、スパルコが頭部のない骸骨にスカルを近づけると、スカルが頭部に戻りすべての骸骨が合体し始めるのです。
その姿は「未知との遭遇」で登場した宇宙人の怖いバージョンともいえる姿で、神殿と思っていたのは宇宙船でした。すべてが崩壊していく中で、ジョーンズらは何とか脱出し、宇宙船は消えていくのです。
一般には、シリーズとしての評価は悪い。ハリソン・フォードが年を取って、往年の切れ味が無いこともありますが(とは言え頑張っている)、結局CGに頼った絵作りが、このシリーズの特色であるアクションを嘘っぽくしたことが一因にあることは否めない。
特に最後の宇宙船の登場はルーカスのアイデアで、スピルバーグはやり過ぎと考えていたようです。最後のシーンはジョーンズとマリオンの結婚式。すべてが丸く収まってめでたしめでたしでシリーズは完結・・・と思ったら、何と第5作が準備中。コロナ禍が無ければ、2021年の公開予定でしたが、70才を超えたジョーンズがどうなっているのかも知りたいところではあります。