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2021年1月4日月曜日

ミッション・インポッシブル (1996)

スパイ物のアクション映画で、最も有名なシリーズは「007 ジェームズ・ボンド」であることは疑いの余地はありません。

ただし、最近のボンドは好評価されているものの、どこか初期の設定が時代と共に現実味が薄れ緊張感がなくなり、長いシリーズの中でだれてしまったことは否定できません。

ジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグの「インディ・ジョーンズ」シリーズは、時代設定を過去に戻し、冒険要素を出したことで、設定自体は普遍的に使えるようになっています。

今の時代にマッチしたスパイ物で、ダントツに輝いているシリーズと言えば、間違いなく「ミッション・インポッシブル」でしょう。第1作から主演を兼ねて制作に携わるトム・クルーズの気合の入り方が違う。

日本では、そもそも1967~1972年に「スパイ大作戦」としてテレビ放映されていた1時間1話完結のドラマが元ネタ。当時、これにはまらないこどもはいなかったと思います。

「おはよう、フェルプス君。今回の任務は・・・、なおこのテープは5秒後に消滅する」みたいな出だしからしてワクワクしていました。遂行不能と思われる難度の高い任務を、変装、特殊な道具、だいたんな仕掛けなどで次々にこなしていくのは痛快そのもの。

懐かしいあのテーマ曲が現代風に蘇り、フェルプス(ジョン・ボイド)がリーダーとして登場。飛行機の中で指令を受け取るところはテレビ・シリーズを彷彿とさせます。

今回の指令は、若いチームを率いてCIAの欧州要員リストの奪還を目指すというものですが、何とフェルプスを含めてチームはイーサン・ハント(トム・クルーズ)を除いて全滅という衝撃の幕開けです。

実は、今回の任務はCIA内部のスパイをあぶりだすためのもので、生き残ったハントに密通者の嫌疑がかかる。ハントは、フェルプスの妻クレアと共に、かつてCIAで活動していた腕利きルーサー・スティッケル(ヴィング・レイムス)、フランツ・クリーガー(ジャン・レノ)を味方につけて本当の裏切り者を探すことになります。

監督は、サスペンス映画で実力があるブライアン・デ・パルマ。ハントが聖書の裏表紙から裏切り者に気がつくところとか、裏切り者がどうやってチームを潰したのか回想するシーンなどでの演出はらしさが出ているところ。ただし、アクションがメインのこの映画では、その実力は発揮しきれていないかもしれません。

やはり、スタント無しのクルーズの体を張ったアクションが見所。巨大水槽を爆発させ、大量の水流から飛び出してくるところとか、高速鉄道やヘリコプターが絡んだ格闘などの動的なアクションと、CIA本部に侵入し宙吊りでデータを盗み出す有名な静的なアクションのバランスが素晴らしい。

1973年にテレビ・シリーズが終了して20数年たって、ついに映画化された「ミッション・インポッシブル」は賛否両論を巻き起こしました。つまり、テレビ・シリーズを引き継ぐ唯一のキャラクターであるフェルプスの扱い方が物議をかもし、テレビ・シリーズの出演者らから批判を受けることになります。

しかし、考え方によっては、フェルプスを利用する事でテレビのイメージを簡単に継承できたわけですが、逆にそれが足かせになる。新しい映画として、ハントが新たな世界観を作るためには、潔い決断だったと思います。