もっかのところ、トム・クルーズ制作・主演の「ミッション・インポッシブル・シリーズ」の最新作がこれ。前作を監督したクリストファー・マッカリーが監督続投です。
タイトルは核爆発後の「死の灰」を意味する"fallout"ですが、"fall out"と区切れば「落下」という意味で、映画の中で高い所から落下する怖いアクションがふんだんに盛り込まれました。
また、冒頭でハントとジュリア(ミシェル・モナハン)との結婚式が登場し、「嘘をついて二重生活で苦しめることを誓いますか」と聞かれ驚いて神父を見ると、なんとソロモン・レーン((ショーン・ハリス))なのです。
前作「ローグ・ネーション」で捕らえたシンジケートのボスが夢に手出来てハントを苦しめる。つまり、アクション中心のシリーズで、初めてハントの内面、心の葛藤を強く引き出すことが、今作の目的の一つになっているところも注目です。
シンジケートの残党どもがアポストル(神の使徒)と名乗り、金で請け負ったテロを世界で繰り返しているという状況。アポストルの新たな雇い主であるジョン・ラークと呼ばれる人物が、核爆弾を使って世界を大混乱に陥れようとしていることを察知したIMFはハントに計画の阻止を指令します。
ハント、ルーサー(ヴィング・レイムス)、ベンジー(サイモン・ペッグ)の三人は、マフィアに盗まれたプルトニウムをラークが手に入れる前に取り戻そうとしますが、アポストルに襲撃される。ハントはルーサーの危機を救うことを優先したため、プルトニウムは奪われてしまいます。
IMFのハンリー長官は、プルトニウムの受け渡しで武器仲介専門のホワイト・ウィドー(女性!)とラークがパリで会うという情報を得たため、ハントらを向かわせようとしますが、CIA長官のスローン(これも女性!!)が、強引に自分の部下ウォーカー(ヘンリー・カヴィル、現役スーパーマン)を作戦に帯同させます。
二人はヘイロー・ジャンプと呼ばれる超高空から落下し超低空でパラシュートを開く超絶アクションをこなして、密会場所に潜入、ラークらしき男と格闘になり危うい所をMI6(イギリス諜報局)のイルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)に助けられる。ラークを装ったハントは、ホワイト・ウィドーから護送中のレーンの奪還と交換でプルトニウムを渡すと言われます。
ハントは、何とかフランス警察に人的被害がでない方法でレーンを奪取し、途中でレーンを殺害しようとするイルサの銃撃を受けますが、何とか逃げ切りました。ここでのクルーズ本人による超絶バイク・チェイスも見所です。イルサはレーンを殺すことで、MI6を裏切っていないことを示そうとしていたのです。
ここらで、敵味方と繋がりが混乱を極めるんですが、ラークはアポストルを率いてプルトニウムを手に入れた。そして教祖的存在のレーンを取り戻すために、ホワイト・ウィドーを仲介してハントらにレーンの脱走をさせようということ。
つまり、ハントがラークに成りすましていることは、アポストルは御見通しということです。またCIAもホワイト・ウィドーと繋がりがあり、ラークは実際にはハントなのではないかと疑っているため、これをはっきりさせるため嘘の情報を流している。
この二つの作戦が成立するためには、勘のいい人は気がつくと思いますが、これまで登場したCIA関係者、つまりスローン長官かウォーカーのどちらかが本物のラークであるという結論になる。
隠れ家でハンリー長官から、ハントに対する疑惑があるため作戦は中止といわれますが、ラークの正体がウォーカーであることを突き止めアポストルとの銃撃戦になり、長官は死亡、ウォーカーとレーンには逃げられてしまうのでした。
彼らはインドのカシミールで核爆発を起こし、地球上の人口の1/3を消し去ろうという計画でした。ハント、ルーサー、ベンジー、そしてイルサの4人は、阻止するために現地に向かいますが、そこには民間医療団の一員としてジュリアが働いていたのです!!
この後、ヘリコプターのチェイスもあるのですが、これもこのために操縦免許を取得したクルーズ自身が危険なアクロバティックな飛行を見せてくれます。また、途中でビルとビルとの間を飛び越えるシーンでは、クルーズが壁に激突し足の骨折をしたのはニュースにもなった有名な話。
とにかく、見る者を喜ばせたい一心で何でも挑戦するクルーズには頭が下がるばかり。また、その間違えば命に関わる危険なスタントを支える、製作スタッフも素晴らしいし、一級の画像として作り上げる監督の手腕もなかなかのものです。
ジュリアを不幸にしたと思っているハントの心の苦しみ、大勢を救いたいのはもちろんだが、一人の命も大事という、スパイとしては「甘い」考えの部分が、映画の主人公として大きな魅力になっていることは間違いなく、本作はシリーズ最高傑作という評価も納得できます。
コロナ禍で撮影が中断したりして難航していますが、現在次回作の制作が行われています。多くの登場人物が引き続き出演し、ハント以外のメンバーの内的描写も膨らませる内容と言われており、前後編の二部作として2021~2022年に公開予定となっています。