2021年7月29日木曜日

オール・ユー・ニード・イズ・キル (2014)

いろいろなミッションでお忙しい中、トム・クルーズ様にはよくもこの映画でも大活躍する時間があることかと感心しきりです。この前が「オブビリオン」という、どちらかと言えばハードSFでしたので、続けてのSF物。今回はアクション主体で、しかもタイム・ループという同じ時間が延々と繰り返されると言う面白いテーマに着眼しました。


しかも、さらに嬉しいことに、この原作は日本製。2004年の桜坂洋のライトノベルを映画化したもので、映画の原題は「Edge of Tomorrow : Live Die Repeat」なんですが、邦題は原作のタイトルをそのまま使用しています。

近未来の地球、宇宙から飛来したギタイと呼ぶ侵略者により、人類は絶滅の危機にありました。地球連合軍はパワード・アーマー・スーツを開発し、ヴェルダンの女神、戦場のビッチとも呼ばれるリタ・ヴラタスキ(エミリー・ブラント)の活躍もあって反撃の糸口を見出し、いよいよ明日総攻撃を行う計画になっていました。

広報担当のウィリアム・ケイジ少佐(トム・クルーズ)は、将軍に呼ばれ明日の総攻撃の最前線に出向くように命令されますが、実戦経験がなく臆病なケイジは拒否して、二等兵に格下げになってしまいます。当然、戦闘スーツの使い方もろくすっぽわからない状態で出撃させられ、ものの数分で青いギタイに襲われ持っていた地雷で爆死します。

しかし、次の瞬間、ケイジは昨日の前線基地に到着した時に戻っている。昨日と同じ光景が繰り広げられ、驚く暇もなくまたもや戦死してしまいます。それが何度か繰り返されるうちに、しだいに敵が次にどこから来るか覚えていて戦えるようになっていく。まるで次に何が起こるかわかっている動きをするケイジを見たリタは、昨日の自分を探せと言って戦死。

再び昨日に戻ったケイジはリタに会い説明を求めます。青いギタイは通常のものと違い、時間をループさせる能力を持っていて、その体液を浴びたことでケイジにタイム・ループの能力が備わったと話します。リタもかつてその力を得たために活躍できましたが、重傷を負って輸血されたことで今はその力が無くなっていました。

タイム・ループを信じるカーター博士は、青いアルファ・ギタイを操るのはボスのオメガ・ギタイで、オメガが見せる幻覚によってその場所がわかると言いますケイジはドイツのダムの奥にオメガが潜んでいる幻覚を見ましたが、何度も途中で死亡を繰り返しついにその場所に着くと、タイム・ループ能力を得た人間をおびき寄せる罠でした。

そこでカーター博士が以前開発し、司令部に保管されているオメガを逆探知する機械を奪取し、パリのルーブル博物館の地下貯水槽に隠れていることが判明します。しかし、ケイジは警備兵との戦闘で逮捕され、ケガをしたため輸血が行われタイム・ループ能力を失いました。パリに向かったケイジとリタは、オメガとの最終決戦に挑むのです・・・

21世紀のSF作品ですが、あまたの名作をおさえ、わりと高評価を得ています。評価のポイントはやはり、タイム・ループという他ではあまり見かけないアイデアの面白さです。何度も繰り返される場面を、少しずつ変化を持たせて見ていて飽きさせない演出はうまくいっています。監督は「ボーン・アイデンティティー」のダグ・リーマン。

戦闘シーンはグリーンバックでCG合成されたものですから、まぁ今時の技術としてはそれなりに派手。俳優はワイヤー・アクションであちこちに飛び回ります。ただ、パワード・スーツは実際に装着しており、できるだけ軽量化しているとは言っても30kgくらいはあるらしく、これをつけての演技はかなり重労働だったようです。

人気俳優トム・クルーズが、日和見将校で冒頭すぐに死んでしまうというのは驚きですが、死んでリセットされてスタートからやり直すうちに戦闘スキルが上がり、だんだんいつものトム様状態になっていくのはある意味安心。この状況は、ビデオ・ゲームのFPSでストーリー・モードをこなしているのと同じで、何度もやればいつかクリアできるというもの。

最後は多少都合よすぎる感じがしますが、トム様はハッピー・エンドというのはお約束というところでしょうか。細かいことを考えると突っ込み所はあるんですが、そんな暇がないくらいスピーディな展開で、確かにハリウッド娯楽SFとしてなかなか楽しめる作品でした。