名作SFホラーである1982年のジョン・カーペンター監督「遊星からの物体X」の続編。続編と言っても、実は前作の前日譚の内容。タイトルは「ファースト・コンタクト」という副題をつけたのは日本で、オリジナルはこちらも「THE THING」だけで同じです。
カーペンター版が、南極のノルウェイ基地から逃げた犬を殺そうとして、ノルウェイ隊員がヘリコプターで追いかけてくるところから始まり、この映画では何故そうなったかが解き明かされるというもの。
南極のノルウェイ基地では、不明の信号をキャッチし、宇宙船と氷漬けになった何らかの生物を発見します。
連絡を受けたハルヴァーソン博士は、助手のアダムと古生物学者のケイト(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)を伴って、急遽南極へ向かいます。基地に着くとすぐさま、地下の空洞にある巨大な宇宙船を確認。そして氷漬けになったエイリアンを切り出し回収します。
しかし氷が溶けだし、エイリアンが復活。隊員を襲い、自分の体内に同化してしまいました。何とか焼却して殺せたと思ったのも束の間、ケイトはエイリアンの細胞が生きていることを確認します。
エイリアンは生物を取り込む時に、無機質は複製できないこともわかりました。ケイトは全員の口の中を確認し、歯の詰め物の有無で人間か否かを確認します。しかし、すでに多くがエイリアン化しており、アダムも襲われ、エイリアン化したハルヴァーソン博士は宇宙船に逃げ込みます。
ケイトは何とかエイリアンを倒し地上に戻りますが、一人呆然とするしかありませんでした。そしてエンドロールの途中に、基地の異変に気が付いてヘリコプターで救援には来たパイロットは、唯一の生き残っていた隊員を発見。その時犬が飛び出して走り去っていく。そして、彼らは犬を追いかけて・・・
前作との大きな違いは、主役を女性にしたこと。ある種のムーブメントを反映しているところもあるかもしれませんが、秘密裏に大発見の手柄をつかみたい博士が、わざわざ外国人であるアメリカの女性を連れ出すというところは最初から無理があります。もっとも、ノルウェイ隊の話ですから、全編ノルウェイ語が飛び交うんじゃハリウッドとしても困る。何とか英語で話を進める上での苦肉の策なのかもしれません。
人間か否かを見分ける方法は、前作は血液に熱を近づけて血液そのものが逃げるかどうかでしたが、今回は金属などの異物が体に残っているかというところ。前作の方法だとエイリアンと確定できました。今回は、歯の詰め物の有無で確認という方法では、人間だと確定はできても、エイリアンの可能性は否定できないという弱い判定方法です。
何とか別のストーリーを構築しようとしている努力はわかるのですが、閉鎖空間で仲間でだんだん減っていく恐怖という意味では同じ。さすがにエイリアンの出来栄えは、今作に軍配が上がります。実は着ぐるみや人形を多用しており、意外にCGは少ない。
見る順番は、どちらからでもOKですが、カーペンター版を先に見てからの方が、こちらがいかに先人に敬意を表しているかがよくわかるかもしれません。監督はオランダ人のマティス・ヴァン・ヘイニンゲンJrで、これが監督デヴュー作。まぁ、前作を超えることは無理としても、手堅くまとめ上げていると言えそうです。