まず、審判の日が第3作の1997年8月29日に戻されました。少年カイル・リースがジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)に助けられ、初めて出会うのは地下水道。2029年、コナー率いる人類抵抗軍は最終決戦で勝利しますが、スカイネットがターミネーター101型をタイム・スリップさせることを防ぐことができませんでした。
そして、1984年。まさに第1作の冒頭とまったく同じシーン。ゴミ収集車にスパークが走り、若いシュワルツェネッガーのターミネーターが裸で登場するわけですが、カット割りも同じ。
2029年に戻って、タイム・スリップしたターミネーターの目的は、コナーの母親、サラ・コナーの抹殺にある。コナーは、サラを助けるために、多くの志願者の中からカイル(ジェイ。コートニー)を指名して1984年に送り込みました。しかし、カイルはタイム・スリップの直前、コナーが何者かに襲われるのを目撃し、こどもの時の自分が「ジェニシスがスカイネットだ。起動する前に殺せ」と言う記憶が蘇ってきます。
カイルが、1984年のロサンゼルスの路地裏にスパークと共に落ちてくるシーンも、第1作と同じ背景でカット割りも同じ。その次は、順序が戻って若いシュワルツェネッガーが不良から服を奪うシーン。これも同じかと思った瞬間、後ろからやってきたのは・・・おじさんのシュワルツェネッガー!!
おじさんは、「待ちくたびれた」といいながらいきなり若いシュワルツェネッガーにショットガンをお見舞いします。そして、何者かの銃撃により若いシュワルツェネッガーは機能を停止し、おじさんのシュワルツェネッガーが親指を突き立てます。
警察に見つかったカイルは、警官から銃を奪い「今日は何年だ?」と尋ねる・・・ところまでは同じなんですが、ここから話が違う。警察官(イ・ビョンホン)は、「お前が来る日だ」と言った直後に腕が刀に変わる。何と、液体金属でできたT-1000なのです。
窮地のカイルをトラックで突入して救ったのは、何とサラ(エミリア・クラーク)でした。サラはおじさんのシュワルツェネッガーと一緒で、「あなたが助けに来たサラはもういない。9歳の時にこのターミネーターに助けられて過去は変わった」と話します。
101型ターミネーターの皮膚は生体材料でできているから、外見は年を取る・・・なるほど、うまい説明だ。T-1000が襲ってくることもわかっていたので、仕掛けていた酸の雨を降らせ何とか撃退します。サラとおじさんは審判の日を止めるため、1997年にタイム・スリップできる装置を作っていましたが、未来のCPUが必要なためタイム・スリップしてくる若いシュワルツェネッガーを待ち受けていたのです。
しかし、カイルは転送中に見た記憶から審判の日は2017年だと言います。計画を変更して、カイルとサラは2017年のサンフランシスコにタイム・スリップしました。二人が裸で着いたのは、何と高速道路の真ん中。すぐさま警察に捕まりますが、そこに現れたのは何とジョン・コナーでした。しかし、間一髪、さらに老けたシュワルツェネッガーが現れ、細胞レベルで機械化したターミネーターT-3000と化したジョンを撃退します。
一方、サイバーダイン社では世界中の情報を管理できるジェニシスという基本ソフトを開発し、起動まであと1日と迫っていました、T-3000は、サイバーダイン社にも潜入して液体金属やタイムスリップのための電磁場装置の開発に協力していたのです。
サラたちは、ジェニシスの起動を阻止するためにサイバーダイン社に向かいますが、当然、ジョン・コナーの姿をしたターミネーターとの死闘になる。老けたシュワルツェネッガーは、電磁場発生装置の中に何とか抑え込んで彼を分解に追い込みますが、自らも分解し液体金属のプールに沈んでいきました。大爆発によってサイバーダイン社は壊滅し、生き延びたサラとカイルは、やっと自分で運命を決めることができると抱き合うのでした。
監督は「セックス&シティ」などのTVでの仕事を主にこなしているアラン・テイラー。今回はシュワルツェネッガーが最初から最後まで大暴れで、「ターミネーター」としてはかなり正規路線に戻った感じなんですが、ほぼ前4作品は無かったことにしているような筋立て。
さすがに若いシュワルツェネッガーは無理があるので、ここだけはフルCGで作られました。比較的新しい作品ですが、正直CGの出来に関しては一部でいまいちかなというところもあったりします。
そもそもこどものサラを助けるために101型ターミネーターを送ったのは誰? とか、結局ジョンはどうなっちゃったの? とか、根幹にかかわる部分が曖昧な感じ。エンドロールの途中で、破壊されたサイバーダイン社の地下にスカイネットが生き延びているような光景が出てくるので、明らかに続編で次第に明らかにされるはず・・・だったのですが、映画のあまりの不評のせいでその後の計画は自然消滅ということになってしまいました。