ジェームズ・キャメロンが創造した未来から現代にタイムスリップしてくるターミネーターという殺人ロボット(サイボーグ?)が、未来の人類の希望であるジョン・コナーの生まれる前を襲い、そして少年時代を助け、機械(スカイネット)の反乱による核戦争を回避して、人類は平和な未来を迎えたはず・・・
なんですが、キャメロンが妻でありシリーズの制作に携わったゲイル・アン・ハードと離婚するときに、このシリーズの権利を慰謝料代わりに1ドルで譲ってしまったことから、この映画やキャラクターの権利がいろいろなところに移動して、訳が分からない状態になってしまいました。
どこをどう巡ったのかわからりませんが、あれから10年近くたって第3弾が制作されたわけですが、キャメロンは基本的にはノー・タッチ。前作で完結したはずの世界観も、なかったことにしてその続きを監督のジョナサン・モストウらのスタッフが新たに作ってしまいました。
前作から10年後の2004年の話。1997年8月29日の人類のほとんどが死滅する「審判の日」は回避できたはずなのに、ジョン・コナーは大人になっても絶えず不安な日々を過ごしていました。
例によって、スパークとともに2体のターミネーターが未来からやってくる。一つは女性の外見でT-Xという最新・最強のターミネーター(クリスタナ・ローケン)。T-1000の液体金属に加えて、機械を自由自在にリモート・コントロールできる能力を持っています。そして、もう一つはお馴染みのT-800の改良型のT-850(アーノルド・シュワルツェネッガー)です。
T-Xは、すぐさま未来のジョン・コナーの部下となる若者を抹殺し始める。そして、殺人リストにあるジョンの幼馴染みのケイト・ブリュースター(クレア・デインズ)のもとにやってくる。ちょうどジョンもケイトのもとにいて、間一髪のところをT-850に救出されます。
T-850は、未来のジョンの妻となるケイトが過去のジョンとケイトを生き延びさせるために送り込んだ、そして、審判の日は延期されただけで回避不能だと説明します。ケイトの父親は、軍のスカイネットの最高責任者であり、彼がスカイネットを起動することで3時間後には核戦争が勃発するらしい。
彼らはケイトの父親を止めるために軍の施設に向かいますが、すでにT-Xによって施設の制御は不能となっていました。ジョンとケイトは軍の核シェルターにスカイネットの中枢があると考え向かいますが、T-Xに追跡される。しかし、T-850がT-Xとの死闘で自らのエネルギー電池を爆発させT-Xを葬ります。
核シェルターでジョンとケイトは、スカイネットが世界中の端末に分散する存在であり、中枢が存在しない破壊できない物であることを悟ります。そして、ついに人間を不要な存在と認知したスカイネットは、世界中に核攻撃を開始するのでした。
ジェームズ・キャメロンのオリジナル・シリーズとは一線を画する作品で、批判的な批評も少なくない。それでも、シュワルツェネッガーの善玉側のターミネーターが出てくると、この新しい世界も受け入れやすくなります。対する悪玉ターミネーターが女性というところも、新鮮な魅力があって悪くはない。
そもそもタイムスリップしてきた未来の産物が、現代の人物に直接関与している時点で、おそらくいく通りもの未来が存在してしまう可能性が出てくるので、キャメロンが描いた結末以外のアナザー・ストーリーがあってもいいように思います。
最初の映画から20年近くたって、シュワルツェネッガーもだいぶおじさんになっているのですが、それでもボディビルダーとしての本領は消えていないし、それなりにアクションもこなしています。T-850のサングラスへのこだわりは、何度か笑いを誘うシーンになっているのはご愛敬。
キャメロンはシュワルツェネッガーに、この映画に出演することは出演料を稼ぐ以上に得る物は無いと言ったらしいのですが、ストーリーを新たに展開させるものとしては良く出来た映画ですし、どうあがいても運命を変えられなかったというこういう結末もありだと思いました。
ちなみにメディアとしては、この作品だけ日本ではブルーレイの再発がなく、現在プレミア価格になっています。なので、安い中古DVDで我慢しました。