年末年始臨時休診のお知らせ

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2021年9月17日金曜日

日本沈没 (1973)

当時大センセーションを巻き起こした小松左京原作の小説を原作として、東宝が総力をあげて制作したSF大作映画。黒澤組の森谷司郎が監督、橋本忍が脚本。 特撮は中野昭慶が担当し、破壊シーンは綿密に計算された建築工学に基づくリアリティを追求しました。そして、東京大学の竹内均教授ら、本当の科学者たちが多く参加して、可能な限り事実に近い物語を作り上げました。

地球物理学の田所博士(小林桂樹)は、深海調査艇わだつみの操縦士、小野寺(藤岡弘)と共に、小笠原諸島の小島が水没し消失した調査に向かい、海底で異常な地殻変動を発見します。さらに小野寺は、上司の吉村(神山繁)の紹介で地産家の娘、阿部玲子(いしだあゆみ)と葉山でデートをしている時に天城の付近で大噴火が発生します。

山本総理(丹波哲郎)と政府は、田所らを集めて会議を行います。ここでは竹内均教授が自ら出演し、地球の構造を説明するシーンがあり、地殻の動きをわかりやすく説明してくれます。政府は秘密裏にD計画を発動し、フランスの深海調査艇ケルマテックを使い、田所や小野寺をメンバーに加えます。

彼らの調査の結果、大規模な地殻変動が進行していて、最悪、ほとんどの国土が水没すると考えられました。そして、関東に巨大地震が発生、東京は壊滅的な被害を受けるのです。田所らは調査から退避が目的のD2計画を進言し、山本総理は世界各国に日本人の引き取り先を探し始めました。

調査のシミュレーションにより、10ヵ月後に日本の国土が沈没することがわかり、政府は2週間後に内外に公表することにしますが、この異変に気が付いた諸外国に先を越されて発表されてしまいます。そしてついに富士山が噴火し、玲子も巻き込まれ小野寺と別れ別れになってしまいます。

予想より早くに列島各地で大地震と地表の水没が始まり、世界各国も人道的な支援を急ぐ中、ついに日本は世界の地図から姿を消してしまうのです。田所は日本とともに運命を共にし、小野寺と玲子は別々の国で生き延びることになったのでした。


小松の基本的な構想は、日本人が難民になったらというところから始まり、その理由として後から地球物理学の最新知見を導入したと言われ、出版された書下ろし単行本は大ベストセラーになりました。映画は、小説が刊行される前から製作が始まり、小説刊行が1973年3月、映画公開は同じ年の12月というスピードでした。

1974年にはテレビドラマ(小林桂樹、山村聰、村野武範、由美かおる)が放送され、2006年には再映画化(豊川悦司、石川浩二、草彅剛、柴咲コウ)もされています。そして、今年(2021年)10月から、再びオリジナルの登場人物で再構成したテレビドラマとして放送されます(主演は小栗旬、香川照之、仲村トオル)。

日本と言う島国ゆえに単一民族を構成する世界的にも珍しい国が、国土消滅という一見荒唐無稽なプロットながら、度々見舞われる地震を身近に感じ本当に起こるかもしれないと思わせる悲劇は繰り返し映像化する魅力に富んでいるということなんでしょうか。

この小説と映画は、高度経済成長の象徴ともいえるオリンピック、日本万国博覧会が終わり、日本という国がちょっと立ち止まって今後はどうなるのか考え始めるむタイミングでタイムリーに公開されたと言えます。

当然、今のようなCGによる派手な映像はなく、東宝のゴジラの流れを汲んだミニチュアによる特撮ですから、最近の映画に慣れてしまうと物足りないのはいたしかたがない。むしろ、派手な火山の爆発シーンよりもじわじわと国土が無くなっていくところがリアリティを生んでいるように思います。

衝撃的なバッド・エンドを迎える映画なので、せめて小野寺と玲子のロマンスについてはハッピー・エンドにしても良かったのかなと思いますが、あくまでもストーリー展開の中では刺身のつまのような扱いなのがちょつと残念。やはり、主軸は丹波哲郎の必死に国民を助けようとする首相にあるのは当然といえば当然。

しかし、国土(母親)をなくし、帰る場所が無くなっても民族として生き抜こうとする強いメッセージは、単なる悲劇スペクタクルという枠を超えて伝わってて来ます。そういうところが後のいろいろなリメイクは到底及ばないところで、新作ドラマはそういう興味を持って視てみたいともいます。