奇才、ジョン・カーペンターの代表作の一つ。例によって、監督だけでなく脚本や音楽もこなす、マルチな才能を持つカーペンターこの映画が作られた10年ほど未来、20世紀末のアメリカは犯罪の増加により、マッンハッタン島に接する対岸全体を高さ12mの壁で囲んで巨大な刑務所としていました。島の中には警備員は常駐せず、脱走を試みる者は容赦なく排除され、凶悪犯たちの独自の世界が出来上がっているのです。
ある日、大統領専用機がテロ組織にハイジャックされ、マンハッタン島内に墜落しました。大統領(ドナルド・プレザンス)は、ポッドで脱出したものの囚人たちに拉致されてしまいます。ホーク所長(リー・ヴァン・クリーフ)は、収監されるために到着したばかりのスネーク・プリスキン(カート・ラッセル)を、赦免を条件に島に送り大統領を救助することにします。スネークは首に爆薬を埋め込まれ、グライダーでマッンハッタンに進入しました。
頼りにしていた大統領の心拍モニターの示す位置に行くと、モニターを持っていたのは別人。ホークは捜索を続けるように命じます。囚人たちが集団でスネークに襲い掛かってきたところ、スネークを知るタクシー運転手のキャビー(アーネスト・ボーグナイン)に助けられ、大統領を拉致したのは島内を牛耳るデューク(アイザック・ヘイズ)だと教えられます。
まずデュークとつながりがあるブレイン(ハリー・ディーン・スタントン)、実はスネークとの腐れ縁があるハロルドを使い、大統領の囚われている列車のところに行きますが、スネークは逆にデュークに捕まります。デュークは大統領を人質に、全囚人の釈放を要求してきました。
ハロルドはスネークを出し抜いて大統領を助け出しグライダーで脱出しようとしますが、デュークの仲間によってグライダーを破壊されてしまいます。彼らは、脱獄予防のために多数の地雷が埋まっている本土への橋に向かいますが、スネークに残された時間はわずかでした!!
まぁ、当然、主人公は最後には勝つんですが、大統領を救えと命じられたスネークは、確かに大統領は何とか救い出しますが、最後のシーンでは見事な権力に対するしっぺ返しをして見せます。スピード感のある展開で、完全にB級SFアクションですが、なかなか痛快な作品に仕上げたカーペンターはさすがというところ。
それにキャストがすごい。70~80年代に名脇役で名を馳せた名優たちがたくさん登場し、それだけでも十分に楽しめます。特に、カート・ラッセルはカーペンター作品では常連で、ここでも息の合った演技が冴えていました。
ちなみにこの映画の主人公、スネーク・プリスキンをモデルにしたビデオ・ゲームがコナミの「メタル・ギア」シリーズというのは有名な話。また、1996年には続編である「エスケープ・フロム・L.A.」が、監督ジョン・カーペンター、主演カート・ラッセルで作られましたが、こちらはロサンゼルスに舞台を移した、続編と言うよりはリメイクという位置づけです。