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2021年9月26日日曜日

マーズ・アタック (1996)

何事でも分類すると整理しやすくなりますが、一定の先入観を付けてしまうという欠点もあります。SF映画というと、宇宙船が出てきて光線が飛び交いエイリアンと戦うみたいなものを真っ先に想像しやすい。この映画も「火星からの攻撃」というタイトルですから、まさにそんな感じですが・・・そこは、奇才ティム・バートン監督の作品なので、ブラック・ユーモアに溢れたコメディなのです。

話は簡単で、地球制服を目論む火星人が大挙してやってきて、友好的な雰囲気で安心する地球人を光線中で虐殺。政府は成す術もなく侵略が続きますが、宇宙人には意外な簡単な弱点があったため、何とか撃退に成功する・・・って感じ。

何しろ一番の見所は、豪華なキャストが揃っていること。しかも、そのほとんどが火星人の攻撃で死んでしまうというからあきれてしまいます。

やって来た火星人を、最初は友好的な宇宙人と信じるとぼけた合衆国大統領は、バートン版「バットマン」でジョーカーを演じたジャック・ニコルソン。ニコルソンは、火星人の攻撃で倒壊する自分のホテルと運命を共にするラスベガスのカジノ経営者も演じ、その愛人にはアネット・ベニング。

やや高慢ちきな大統領夫人はグレン・クローズで、ホワイ・ハウスの中で落下したシャンデリアの下敷きに。斜に構えた大統領の娘は、当時15歳のナタリー・ポートマン。宇宙人に強硬姿勢を崩さず、最後に踏みつぶされる将軍はロッド・スタイガーが演じます。

テレビのニュース・ショーのキャスターのマイケル・J・フッォクスは、サラ・ジェシカ・パーカー演じるレポーターの恋人を助けようとして消されちゃう。その恋人は、ピアース・ブロスナンの宇宙人科学者と共に宇宙船に捕まり、二人とも実験で首だけにされてしまいます。

カジノで働く元ボクサーは、実際はアメフト選手だったジム・ブラウンで、ショーで歌うのがトム・ジョーンズ本人。トムのファンであっけなくやられてしまう弁護士がダニー・デヴィート。何となく最後にヒーローになるのがルーカス・ハースで、そのシルヴィア・シドニー演じる祖母が火星人撃退の意外な方法のヒントを提供します。シドニーはこの映画が遺作。

ゴジラ大好きのバートン監督なので、東京が攻撃されるシーンではゴジラが登場したりします。ニコルソンはノリノリで参加したらしいですが、アメリカでの評価は半々というところで、「バットマン」シリーズで上げたバートン監督の名声をさげたらしい。

どっちにしても、あまり深く考えてみるようなものでは無いので、A級スタッフとキャストが、大真面目にB級コメディを作ったというところで、単純にバカバカしさを楽しめればいいんでしょうね。