年末年始臨時休診のお知らせ

12月28日(水)は午前のみの診療です。  12月29日(木)~1月4日(水)は休診いたします。  ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。    

2021年9月21日火曜日

スターシップ・トゥルーパーズ (1997)

時間移動のSFは多く、もしかしたら自分にも起こるかもしれない、あるいは起こったら面白いかもと思わせるテーマです。一方、SF映画の中で宇宙物は、今やデフォルト・スタンダードになった「スター・ウォーズ」に代表されるように、自分たちとはまったく別の世界での壮大な話で、宇宙旅行が身近になるまでは現実感はあまり感じられません。星だけが無数に広がる宇宙空間が登場するだけで、ほとんど夢物語になる。

となると、現実世界の枠組みに縛られずに、映画の中に共感を呼べる独自の世界観をうまく構築できているかが勝負の分かれ目みたいなところがあって、それをうまく映像化できた作品は後に傑作と呼ばれるようになって残っていくように思います。

この映画の原作はロバート・A・ハインラインの小説で、タイトルを直訳すれば「宇宙の騎馬警官隊」ということでしょうか。監督は「ロボコップ」のポール・バーホーベンで、得意の暴力描写はここでも健在。特撮は「ロボコップ」のストップモーション・アニメを担当したフィル・ティペットが、ここではCGを導入しています。実は興行的には不調で終わった割には、続編として実写映画2作、CGアニメ映画2作が作られており、ある意味カルト化した展開になっています。

軍が主導する未来社会ユートピアでは、一見すべての人が平等に暮らしていますが、実は軍歴のある者だけが市民権を有し、それ以外は庶民として扱われる差別社会でした。宇宙に植民地を求める地球人は、グレンダス星で昆虫型原住民との間で戦闘が続いており、政府は軍隊への参加を呼び掛けているのです。

ジョニー・リコ(キャスパー・ヴァン・ディーン)はスポーツと恋には得意ですが、テストの点はいまいちの普通の高校生。成績優秀な恋人カルメン(デニス・リチャーズ)が卒業後に連邦軍のパイロットを目指すというので、ちょっとだけ超能力が使える友人カール(ニール・パトリック・ハリス)と共に両親の反対をよそに入隊を決めてしまいます。

ずっとリコに片思いのディジー(ディナ・メイヤー)と共に歩兵に配属されたリコは、教官のズィム軍曹の厳しい訓練を受ける一方で、カルメンは以前のリコのライバルであるザンダー(パトリック・マルドゥーン)との仲を深めていきます。このあたりまでは、ほとんど青春群像劇みたいなもの。

カルメンからわからを告げられたリコは、訓練中に仲間を死なせてしまい鞭打ちの刑を受け除隊を願い出ます。しかし、グレンダスの攻撃により両親の住む故郷が壊滅し、復讐に燃えるリコは再び立ち上がります。Dデイを思わせる総攻撃により、地球連邦軍は1時間で10万の兵力を失います。

高校の恩師ラズチャックの「愚連隊」に配属され活躍するリコたちは、惑星Pから将軍の救援信号をキャッチし向かいますが、これは敵の罠で大軍に包囲されます。救援艇で何とか脱出したリコでしたが、ラズチャックやディジーを失います。情報部大佐になったカールは、愚連隊の指揮をリコに任せ、敵の中心となるブレイン・バグを探すように言います。

敵の総攻撃でカルメンとザンダーの艦船は撃沈され、二人は脱出ポッドで惑星Pの敵の巣穴に不時着してしまいます。ブレイン・バグは捕えたザンダーの脳を吸い取りカルメンにも危機が迫りますが、駆け付けたリコに助けられます。ブレイン・バクを捕獲した軍は敵の研究が進み、優勢に戦い勝利は近ズくのでした。

青春物の先にあったのは・・・ナチス礼賛とも言える戦いの映像であり、それが興行成績にも響いたようです。製作サイドは、むしろナチスのような全体主義的な侵略行動を否定する意図を込めたと話していますが、やはりそれが伝わる作りとは言い難い。

また、敵の姿である「虫」の造形も生理的に受け付けない観客もいるでしょうし、CGとは言え人がバラバラにされる殺戮シーンが山ほど出てくるのは拍手喝采とはいきません。ニュース映像として、こどもたちがゴキブリを踏みつぶしているシーンとか何だかなぁというところ。

宇宙に待機する艦隊もほとんど無能に近く、訓練シーンでナイフ投げの練習があり、核攻撃があるのに無駄な練習という台詞がありますが、まさにその通りで、多くの歩兵が無駄死にする前時代的な展開には疑問が残ります。

観客が感情移入するのは、自分の希望のためリコを捨てる(それが悪いわけではないのですが)カルメンよりも、ひたすら思いを持ち続けるディジーの方。ディジーは死んで、カルメンが最後に英雄的に扱われるのも、何となく納得しにくいかもしれません。

文句ばかり言っているようですが、要する見る者を選ぶ映画だということでしょうか。オリジナリティのある世界観を描いたことでは成功していると思いますが、少なくとも万人受けはしないでしょう。ちなみにカルメンを演じたデニス・リチャーズは、この映画の後ボンド・ガールに抜擢され、チャーリー・シーンと結婚し2児を出産しましたがシーンとは泥沼離婚劇に至っています。