タイム・トラベルが可能になった未来では、個人の情報管理が進み死体の処理に困る。そこで未来の犯罪組織は邪魔者を違法に過去に送り付けて、ルーパーと呼ばれる殺し屋に始末させるのです。
時間のループを利用していることからルーパーと呼ばれる彼らは、個々に仕事をしていますが、仕事を辞めたい場合は30年後の自分が送られてきて、自らの手で殺すしかありません。このことを彼らは「ループを閉じる」と呼んでいました。
未来の犯罪組織のボスであるレイン・メーカーは、すべてのループを閉じることにしたため、個々のルーパーの意思とは関係なく未来の自分が送られてくるようになりました。ルーパーのジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の元にも、30年後の自分、オールド・ジョー(ブルース・ウィリス)がやってきましたが、逃げられてしまいます。
ジョーは組織から隠れてそれまでの貯えで優雅な生活を送りましたが、資金は底をつき強盗などの悪事を働くようになります。しかし、20年ほどたち一人の女性と出会い結婚したことで改心し、まともな幸せを掴みました。ところが、レイン・メーカーに妻を殺されたため、過去に戻ってこどものレイン・メーカーを殺すことにしたのです。
2044年のジョーは、オールド・ジョーを発見し、自分の未来、そしてオールド・ジョーが何故今に戻って来たのかという話を聞きます。手がかりの数字から、郊外の農場に生活するサラ(エミリー・ブラント)とシドの母子を怪しいと考えたジョーは、二人に接近し単純ではない母子の関係を知らされ、間違いなくシドが将来のレイン・メーカーであることを確信します。
そこへオールド・ジョーが現れ母子を殺害しようと銃を向けるのですが、これでは復讐の連鎖を生むだけと考えたジョーは自らに銃を向けて発砲しました。現在のジョーが死んだため、オールド・ジョーは消滅しました。
タイム・トラベルにまつわる話はたくさんありますが、一般的によく言われているルールで過去を変えてはいけないというのがあります。オールド・ジョーの行為はそもそも過去を変えようということですから、本当にできたら何が起こるのか想像もできません。
むしろ、ここでは現在のジョーが未来を変えてしまうというのが映画としての新鮮なところかもしれません。ただ、2044年にジョーが死んだら、そもそもオールド・ジョーは過去に戻ってくることは無いので、話が成立しないとか考えだすと頭が痛くなります。
ウィリスとゴードン=レヴィットも本来似てないので、同一人物というのは無理があるところになんですが、見ていて意外に気にならない。これは、ゴードン=レヴィットの演技力に追うところが大きいように思いますし、年を取って禿おやじになってしまうゴードン=レヴィットが可哀そうかもしれません。