昨年夏の話題作で、脚本・野木亜紀子、監督・塚原あゆ子の鉄壁コンビによる作品で、特に話題になったのはこのコンビによる大ヒット・ドラマ、「アンナチュラル」と「MIU404」と世界観を共有して、それぞれのキャストも登場しました。
巨大通販サイトを運営するDAILY FASTの西武蔵野ロジスティックセンターに、最大の特売期間であるBLACK FRIDAY前日に新しいセンター長として舟渡エレナ(満島ひかり)が赴任してきます。しかし、着任早々、DAILY FASTからの荷物を開封したとたんに次々と爆発する事件が発生し、死亡する人も出てしまいます。
エレナは、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)に、次から次へ指示を出し、絶対に配送作業を止めないと宣言するのです。エレナの上司、統括部長の五十嵐(ディーン・フジオカ)は、事件により作業効率が落ちていることを問題視して、エレナに圧力をかけてきます。
警察の捜査によって、恨みを持つ者として5年前にチームマネージャーをしていた山崎佑(中村倫也)を容疑者とし、機動捜査隊の志摩(星野源)と伊吹(綾野剛)がアパートに踏み込みますが山崎はいませんでした。そして、何と5年前から植物状態で入院し続けている山崎を発見します。山崎は、5年前のBLACK FRIDAY前日にロジスティク内で飛び降り自殺をしたのでした。
エレナが発見したDAYLY FASTの偽サイトの線から、警察は爆弾製造したものを見つけ逮捕することができました。犯人は、頼まれて全部で12個の爆弾を製造したと証言します。すべての商品を検品するしかなくなったエレナは、遅れてでも出荷することに執念を燃やします。
梨本は出荷に執着するエレナに疑問を感じ従業員名簿を調べると、山崎佑のデータがエレナによって消去されていること、そして新センター長は本来別の者が来るはずだったことを知ります。梨本は直接エレナに「あなたは誰なんです」と詰め寄るのでした。
「アンナチュラル」のUDIラボは、爆発で亡くなった方の解剖を担当することで登場します。三澄ミコト(石原さとみ)、中堂系(井浦新)羅お馴染みのメンバーが登場し、事件の真相解明に大いに役立ちます。
野木・塚原チームの仕事としては、物流問題、過重労働問題などを盛り込んでいるところはさすがですが、本来、2時間8分の映画で描くには扱っているテーマは深いし、出てくる謎も多いので、せわしない印象はぬぐえません。1時間ドラマで4-~5回くらいはかけてもいい感じなので、ネット配信とかの方が向いている感じです。
せっかく「アンナチュラル」チームと「MIU404」チームが参加していますが、これも話題性優先で、別に彼らである必然が感じられませんでした。もっとも両ドラマのファンにとっては、出てくるだけで嬉しくなってしまうのは、術策にはまってしまったというところ。
逆に言えば、テンポが良く中だるみしないノン・ストップ・サスペンスという褒め方もできます。通販大好きな身としては、自分が買いまくった裏側で起こっていることの一端を垣間見た感じがしました。