2025年5月27日火曜日

ねこタクシー (2010)

2010年1月から1話30分ドラマとして、地方テレビ局が主体となって全12話が放送されたテレビドラマですが、同年6月にこの映画版が公開されました。映画版はテレビと同じ設定、同じ出演者ですが、ストーリーはテレビ版とは異なる展開となっています。もともとは永森裕二の小説が原作。テレビから引き続き亀井亨が監督し、脚本は原作者も参加しています。

間瀬垣勤(カンニング竹山)は、中学校教師をしていましたが人を信じることが不得意で、自ら教師の資格なしと考え、タクシー運転手に転職しました。妻の真亜子(鶴田真由)も中学校教師をしていて、そんな夫を優しく見守っていました。娘の瑠璃(山下リオ)は高校受験を控えていて、主体性のない父親を疎ましく思っていました。

勤は、たまたま休憩中に公園に積まれた土管に御子神という名札をつけた三毛猫を見つけ、気にかけるようになりました。ある日、勤は客の猫連れの老婆に釣銭詐欺をされてしまいます。同僚の女性ドライバーである丹羽(芦名星)によると、通称「ネコばばするネコババア」(室井滋)として有名で、たくさんの運転手が被害にあっていて、家に乗り込むとたくさんの猫に驚かされて追い返されるらしい。

勤はネコババアの家を訪ねると、行き場のない猫を助けていたらすごい数になったという猫の中に、御子神様がいました。勤は、御子神様と御子神様を慕う子猫のコムギを譲り受けます。最初は真亜子に反対されますが、「お父さんが自分から行動するのを見るのは初めてだから」と瑠璃が賛成したことで、家で飼うことになります。

昼間に二匹を放置できないので、勤はタクシーに乗せることしますが、猫をきっかけに客との会話ができるようになり、売り上げも急に伸び出したのです。勤と共に成績ワーストを争う丹羽は、勤をこっそり観察し猫を乗せていることに気がつきます。丹羽も猫を乗せるようになりますが、評判になって雑誌の取材を受けたことで、保健所の調査が入ってしまうのでした。

会社にも内緒にしていたので、丹羽は退職し、勤も猫を連れていけなくなりました。勤は保健所の担当者(内藤剛志)に何度も掛け合いますが、動物愛護の観点から見過ごすことはできないし、そもそも動物を営業に使うための資格が無いと言われてしまいます。タクシーに乗らなくなった御子神様は急に元気が無くなってきたため、勤は資格を取るために一念発起して猛勉強を始めるのでした。

主演がカンニング竹山で、タイトルからしてギャグとしか思えない。ついに動物系コメディ見つけたぁ~、と喜んだら、どうも笑いどころは無くて、やっぱりヒューマン&アニマル人情ドラマでした。

とは言っても、いつも馴染みのあるキャラクターと正反対の役を演じたカンニング竹山は、さすがに演技者としては満点とはいきませんが、周囲の配役に助けられてそこそこ頑張っている感じです。

現実には猫をのせたタクシーというのは「闇」でなければ無理な話だとは思いますが、動物が苦手でなければ楽しそうです。予約できるならまた乗りたいと思うかもしれません。人を信用できない主人公が、猫を介した他人との関係の中で、次第に自分に自信を持つようになるところは納得してしまいます。

動物がメインに登場するストーリーは、洋画にはコメディもあるんですが、邦画の場合は人情系ばかりで、さぁここで泣いてくださいみたいなものばかりです(この作品は泣きません)。それはそれでいいんですが、もう少し幅を広げてくれないと展開に新鮮味がありません。