年末年始休診のお知らせ

年内は12月28日(月)午前まで(午後は休診)です。 12月29日(火)~1月4日(月)は休診します。

2009年5月4日月曜日

Pierre Barbizet / Chabrier Piano Works

クラシックというジャンルの中では、圧倒的にドイツ・オーストリア勢力が強いわけで、華やかなる文化を誇るフランスですら、後進国的な扱いとなってしまいます。

実際、フランス人の作曲家で一般に名が知れているのは、19世紀なかばに活躍した「幻想交響曲」のベルリオーズあたりからではないでしょうか。

もともと音楽が、宗教的な発展から貴族の楽しみに広がったことを考えると、イタリアやドイツが宗教的な先進国だったということなんでしょうか。

音楽が一般に浸透することに貢献した歌劇というジャンルは、もともとはイタリアが本場。モーツァルトもドイツ語の歌劇を作りたくてしょうがなかったということからも、当時のヨーロッパの流行の伝わり方が想像できて楽しい。

さて、話を戻すとベルリオーズと同世代にはラロ、グノー、オッフェンバックなどがいますが、いずれもよく知られた有名な曲はわずかです。また、音楽的にもドイツ系音楽、つまり古典派・ロマン派の続きという部分が多く、フランスとしてのオリジナリティはそれほど多くはありません。つまりフランス音楽の萌芽期と言えるかもしれません。

19世紀後半に主に活躍した次の世代になるといよいよ熟成期となり、サンサーンス、ビゼー、シャブリエ、フォーレといった、いかにもフランスらしい作曲家が登場してくるのです。しかし、後年のフランス音楽の特徴を少しずつ内包しているものの、まだまだロマン派の発展型という色彩が強い。

そして19世紀末になってきてドビッシーの登場によりフランス音楽が完全に開花することになります。いわゆる絵画の印象派という考え方を音楽に取り入れたことが最大の特徴とされ、いわゆる「不協和音」も含むようなありとあらゆる音の組み合わせを取り入れた近代音楽の始まりというわけです。

20世紀になってサティ、デュカス、ラベルがこのフランス流の音楽をいろいろな形で発展させ、現代のプーランク、メシアンなどへ続いてくることになります。と、いうのが勝手に自分が解釈したフランス音楽史。多少の間違いはあるでしょうけど、まぁ当たらずとも遠からずというところだと思います。

そんなわけで、何となくフランス音楽を整理してみたところで、ピアノ独奏曲の役割を考えてみましょう。19世紀なかばの萌芽期にはオーケストラが中心で、ほとんどピアノ独奏曲は登場しません。しかし、成熟期の作曲家はピアノ独奏曲を発表するようになります。

このあたりには、ショパンが晩年をパリで過ごすことが多く、しだいにピアノ独奏という形態がフランスの作曲家に浸透していったことも大きな要因と考えられます。

そして作曲をする道具としてピアノが主として使われることを考えると、まずピアノ曲があって、フランス人作曲家はその中でいろいろな実験を始めたのではないでしょうか。オーケストラ編成にまでもっていけない曲が増え、ピアノ曲のまま発表するケースが増えたのかもしれません。

ドビッシーの曲は、ピアノ独奏のものとオーケストラ編曲されたものがけっこうあるのです。このあたりは興味深く、同じ曲でも渋みのあるソロと大変華やかなオーケストラの両方が楽しめます。この当たりはまさにフランス音楽の多面性を表しているように思います。

特にピアノ独奏のジャンルを発展させたのがサティであり、さらに次の世代のプーランクです。比較的親しみやすいメロディを持っているのですが、つかみどころのないような浮遊感があります。このあたりが、はまった人にはたまらないのでしょうね。

個人的には、もちろん嫌いではないのですが、大好きかと言うとそうではありません。古くさい聴き方かもしれませんが、まずはっきりとした主旋律があって、そこから入っていっていろいろな発展を楽しみたいと思うのです。ですから、浮遊感が強すぎるとBGMとしていいのですが、なかなか気持ちが入らずまじめに聴くのが疲れてしまいます。

フランス音楽が好きな方には申し訳ないのですが、自分の場合はこんなスタンスで聴いているのです。と、まぁいつになく長い前置きでしたが、本日紹介するCDはシャブリエのピアノ独奏曲全集なのです。

整理したようにフランス音楽史の中では、比較的早い段階に登場し、「スペイン狂詩曲」がほとんど唯一のヒット曲みたいなもの。しかし、スペインを題材にしたこの華やかな曲が後進に与えた影響は大変大きいと考えられています。

シャブリエは、昼間は役人として職務をまっとうし、それ以外の時間を音楽に捧げるという生活を両立していた異色の作曲家と言われています。このあたりにも、フランスの多面的にいろいろなものを吸収する包容力を持ちつつ、そこから独自の文化を形成していく自活力の強さを感じます。

曲はとにかく明るい。いつでもリビエラあたりでバケーション気分とでも言いましょうか。シャンゼリゼでカフェに座って、通りゆく若い女性を眺めて楽しんでいる感じかもしれません。まぁ、少なくとも恋人同士の語らいのBGMではありません。堅苦しくなく、音楽を楽しむための音楽を求めている方は一聴の価値ありです。

2009年5月3日日曜日

Beenhouwer / Clara Schumann Piano Works

ピアノ曲をいろいろ聴いていると、クラシックという枠組みの中では当然曲数には限界があるわけです。って、当然クラシックの作曲家は大多数過去の人ですから当たり前。

そりゃ、いきなりベートーヴェンの未発表の楽譜が見つかったりしないとは言えません。現代の傑出した作曲家の曲が加わっていくことも、忘れてはいけません。

まぁ、そういうのは研究家や評論家の仕事でしょうから、自分のような一般の傍観者にとっては、有限の世界であることに変わりありません。

そこで、他に聴いたことがない作曲家はいないかと探し始めるわけです。だんだんマニアックな方向に走り出しているようですが、いくら有限とはいっても知らなかった曲は山ほどあるわけで、あんなのもこんなのもと探しているとけっこう楽しいものです。

クララ・シューマンはクラシックの世界では珍しい女性の作曲家。1819年に生まれ、子供の頃から卓越したピアニストとして名をはせたそうです。作曲も行いましたが、当時は女性の仕事として認められていなかったため30代でやめてしまいました。

ですから、遺された曲は多くはありません。クララ・シューマンの名を今に残す最大の理由は、やはりロベルト・シューマンの妻ということでしょう。若くしてシューマンが亡くなった後は、シューマンの作曲を後世にに伝えることに努力しました。またブラームスとの親交も有名な話のようです。

さて、録音されているものはそうは多くありませんが、それらを収集してインターネットで公開している熱心なファンも日本にいます。そこでも「ジャンル問わず、イチオシCD」として推薦しているのがこれ、Jozef de Beenhouwerの演奏するComplete Piano Worksです。

前出のホームページに詳しい解説がありますが、とにかくBeenhouwer氏は執念で全ピアノ曲を探し出したようです。

さて内容ですが、いろいろなスタイルが出てくる感じがして、やや統一感がないようなところがあると思います。バッハ風、モーツァルト風、ショパン風、そしてロベルト・シューマン風など、いろいろな顔を見いだせます。

しかし、全体にやはり女性的なロマンが通っていて、大変聞きやすい。ロマン派が好きな方なら必ず満足できると思いますし、また録音も大変素晴らしい。

ちょっと知っていると自慢したくなるCDなのでした。

情報の整理整豚 part 3

4月30日の早朝、WHOから新型インフルエンザの警戒レベルをフェーズ5へ引き上げると発表されました。もともと強毒の鳥インフルエンザを想定して作られたフェーズでしたが、比較的弱毒と考えられている現段階では、経済的なサービス低下となる人や物の移動の制限は勧告されませんでした。

またペルーとスイスでも感染者が確認され、感染が確認された国は12カ国。感染疑いのある国は22カ国にのぼっています。

実際のところ感染者、または感染を心配している人が医療機関に大挙して押し寄せるような状況があると医療機関側の混乱は想像に難くなく、自分も感染する恐怖もあり、メキシコでの医師の状況は推察するに忍びないところがあります。

メキシコの患者数は2498名、死者176名となっていますが、「正式に確認された」のは感染者99名、死者8名となっています。このあまりに食い違うギャップが、まさに混乱の状況を表していると言えます。

日本では、比較的しっかりとした検疫体制を俊敏に機能させたこともあってか、ここまでは患者の発生はありませんでした。しかし、この日成田空港でアメリカから帰国した乗客と、横浜でカナダから帰国していた高校生に疑いがあることがわかりました。いずれも新型ではないとの結論が出て、対応が混乱している状況も露呈しています。

特に厚労相の横浜市批判とそれに対する横浜市長の「喧嘩」は、どっちもどっち。厚労相の勇み足気味もありますが、結果として危機管理がうまく行かなかったことには違いない。ウイルスそのものよりも、そっちの方が心配かもしれません。

5月になって1日、2日はあらたに韓国、香港、フランスなどで患者が確認されました。着実に感染地域は広がりを見せているものの、死者はメキシコに集中している状況です。

5月3日までにメキシコで確認された感染者は397人で死者は16人。死亡率は4%。疑い例を含めると感染者は2500人で死者は101人で、死亡率はやはり4%です。メキシコ以外の地域での感染者は264人となっていますので、メキシコ通りに死者がでるなら10人は死亡していなければなりません。ところが、実際にはアメリカで亡くなったメキシコ人1名のみという状況です。これはやはりメキシコに特化した事態と考えざるを得ません。

日本は、GWで出国した人が帰ってくるところからが正念場になりそうです。マスク・うがい・手洗いという一般的な注意をして、多少の食料や水の備蓄はしておきましょう。特に毎日薬が必要な方は、少なくとも1週間分くらいは余分に手元に揃えておくようにしたいものです。

もしも、急にかぜ症状と熱が出た時には、すぐに最寄りの診療所や病院に行かず、まずは必ず保健所(行政の保健センター)へ連絡をしてください。これは周囲の方のためですが、自分のためでもあるのです。

2009年5月2日土曜日

ジャスミン

本日も晴天に恵まれ、世間の心配事をのぞけば、大変にすがすがしい気候でした。こういう時には、できればゆっくりと近くの公園まで散歩をして、ついでにベンチに座ってうとうとしたいものです。

うちの庭でも急に臭いがするようになったなぁ、と思っていたらハゴロモジャスミンが満開になっていました。

だいたい日本ではジャスミンと称して売っているものはたいていこれで、中華料理に欠かせないジャスミン茶に使用されるマツカリとは違います。

しかし、強い芳香は特徴的ですし、少なくともこのあたりでは簡単に越冬できるので、ちょっと植えておくとけっこう楽しめるものです。

ただ、逆にかなり成長のスピードが速く、うかうかしているとジャングルになってしまいますので、美しく見栄えをよくしたければ、それなりに手入れが大変かもしれませんね。

2009年5月1日金曜日

Low tension

普通なら、大変好天に恵まれ行楽日和ともいえる5月の幕開け。暖かな日だまりで、うとうとしたくなるような平穏な日常。

ところが、今年は新型インフルエンザ騒動で、なかなか気分が落ち着きません。クリニックでは不特定多数の方と接する機会が多いので、よけいいろいろな情勢に注意を傾けることになります。

アスクルでマスクを注文しようと思いましたが、ほとんど売り切れになっている。う~ん、昔のトイレットペーパー争奪を思い出すのも昭和の人間らしいところか。

とりあえず、最近の天気がよすぎて、以外と空気が乾燥しているので、数週間前にせっかく片付けた加湿器をもう一度取り出して使用することにしました。

今日は連休前で、いつもは閑なうちのようなクリニックでさえ、ちょっと繁盛しました。うちはカレンダー通りの診療です。赤い日は休み、黒い日は診療。

世間の最大16連休などという話とは、遠く無縁の世界でず~っと暮らしています。休みが増えれば、自分の首を絞めるだけというのは、勤務医でも開業医でも同じこと。GOLDEN 1/2WEEKでちょうどいい。

昔は飛び石連休と言ってましたよね。いつのまにか5/4が休みになって、やたらと休みが続くようになってしまいました。

休みは羨ましいけれど、仕事がちゃんとあるということも大事なことで、最近のように失業する方が多いことを考えれば不満はありません。

不満と言えば、実はうちのガス給湯器が壊れてしまいました。これは一大事です。蛇口をひねると当たり前にお湯が出るという生活に慣れきっていると、水しか使えないということはものすごい不便なことです。今更のようにきがつきました。

今朝はクリニックでシャワー。GW中になおるのかしら。毎日水シャワーというのはあまりに寂しい。家族は3リットルの電気ポットを風呂場に持ち込んで、せこせこと体を洗っていました。

と、いうわけで、何となく天気とは裏腹にちょっとテンションのあがらない5月の初日なのです。

2009年4月30日木曜日

情報の整理整豚 part 2

4月29日はドイツ、オーストリアで感染者が確認されました。そしてアメリカで初の死者が出たというのがね大きなニュースになりました。ただし、これはメキシコから来た乳児だそうです。そのメキシコの死者数は159人で、やや鈍った感はありますが、まだまだ安心できません。たぶん治療体制がだいぶ整ったということでしょう。

いまだにメキシコに圧倒的な死亡例の原因はわかっていませんが、保険制度の関係でかなり重篤になってからしか受診しないという事情が取りざたされています。

さて4月30日、今朝WHOは警戒レベルの引き上げを発表し、フェーズ5が宣言されました。もう後がありません。つぎはパンデミックです。

このGWで仕事に行かないですむことで人の動きが減るか、レジャーで大移動するかが日本の感染の大きなキーになりそうです。怖いのは豚ではありません。本当に怖いのは人間です。

初期感染は弱毒かもしれませんが、人から人への感染を起こしていくうちに強毒に変異していく可能性が指摘されています。

やはり、あまり楽観的に考えず慎重な行動が望まれるという状況だということです。

2009年4月29日水曜日

Brahms Complete Works

クラシック音楽デフレも相当な物で、だから自分のような者には助かるわけです。

もともと名盤とか言われていた演奏が廉価盤専門レーベルにライセンス供与されて限定枚数で安くなるのは当たり前。ところが、クラシック音楽のレーベルとしては老舗で、現在でも最強のグラモフォンが自らの廉価盤を出すと、そこには"超"のつく名盤が目白押しですから、注目度は俄然高くなります。

そんなわけで、突然売り出されたのがこれ、ブラームスの大全集。もっとも、完全な全集ではなく、多少ははしょってありますが、ブラームスのほぼ全てがこの1セットで揃ってしまうと言えます。自分のようにブラームスが大好きというほどではない者にはちょうどいい。

クラシックの3Bといえば、バッハ(J.S.Bach)、ベートーヴェン(Beethoven)、そしてブラームス(Brahms)となるわけですが、ブラームスはよく難しいと言われ、モーツアルトのような取っつきやすくがなく、ごつごつした無骨な玄人好みという印象があります。

実際、自分もあまり好みとは言えなかったので、値段に引かれたオピッツのピアノ独奏曲全集の1セットしか持っていませんでした。室内楽のセットも幾度となく探してみましたが、どうしても購入する決断がつかずにここまできていたのです。

ところがこのセットはCD46枚組というのに13,010円。HMVのマルチバイを利用すれば、なんと8,457円という驚きの価格で購入できます。しかもポイントも考慮すると、さらに840円値引きして実質7617円です。1枚当たり166円という、100円ショップも驚く値段。

これでカラヤンの交響曲全集、ポリーニのピアノ協奏曲、ムターのバイオリン協奏曲、アバドのセレナーデ、アマデウス四重奏団の室内楽いろいろ、ケンプらのピアノ曲など、簡単に揃ってしまいます。フィッシャー=ディースカウを中心にした歌曲物も18枚にわたって収録されているという、いたれりつくせりのセットなのです。

ほんとかどうか完全限定となっている以上、自分のようにもともとほとんどブラームスを持っていない者としては有無を言わさず買わざるを得ない。

あ~、また聴く時間も無いのにこんなものを買ってといわれてしまいそうです(誰に?)が、現在唯一の道楽なもんで許してください。ハイドンの交響曲を聴き終わって、何とか6月中には聴き始めたいと思うわけです。

情報の整理整豚

最初の日本でのニュースは4月24日、米疾病対策センターが豚インフルエンザに感染した患者が全米で7人見つかったと発表したわけです。この時点では豚と鳥のインフルエンザが豚の体内で混合して変異し、ヒトに感染するようになった新型インフルエンザと推定されていました。また毒性は弱く患者は回復しており、重大な懸念は無いとも伝えられていました。

翌25日になって、世界保健機関(WHO)がメキシコで3月末からインフルエンザによる60人の死亡があり、豚インフルエンザの疑いがあることを発表しました。さらに同日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と認定しメキシコ(死者81名)とアメリカでの感染拡大も公表され、かぜん危機感が強まったのです。

4月26日には、メキシコとアメリカで非常事態宣言。WHOはメキシコとアメリカの患者から検出されたウイルスがH1N1型の新型インフルエンザであると確定しました。メキシコの死者数は103人に増加。さらにカナダ、ニュージーランドでも感染が確認されました。このあたりから、経済界へもさまざまな影響が出始めています。

4月27日にはスペイン、イギリスでの感染が確認され、メキシコの死者数は149人とさらに拡大しました。半年後を目標にワクチンの製造が開始されたと発表され、WHOは2005年に制定された新型インフルエンザの感染拡大に対する警戒フェーズを初めて、引き上げる可能性を示唆しています。

そして実際に翌4月28日早朝にWHOが緊急委員会の結果を受けて、警戒レベルをフェーズ3からフェーズ4への引き上げを発表しました。WHOの警戒レベルの定義では、フェーズ3は新型インフルエンザの人への感染が確認された段階、フェーズ4は地域社会での人から人への感染、フェーズ5はある地域における少なくとも2カ国での人から人への感染、フェーズ6は2地域以上の世界的な感染拡大(パンデミック)を意味します。

日本でも比較的迅速に国は反応して、WHOの発表から間髪をあけずに厚労相が会見を行い、事態をメディアを通じて報告。昼には総理大臣を本部長とする対策会議を招集しました。感染地域への渡航延期を勧告、また感染地域からの入国者に対する検疫体制を強化しました。メキシコでの死者数は152人となっています。

4月29日朝の時点では、イスラエル、コスタリカでも感染確認、韓国でも疑い症例が報告されています。感染が確認された、または疑われる地域は23カ国に上っています。そしてWHOはさらにフェーズ5への引き上げの可能性にも言及しました。

ここまでの感染の拡大は大変早く、世界の人の移動の広域化・高速化が想像以上に進んでいることを意味していると考えられます。それに対する、対策の推進も現状では劣っているわけではありません。比較的素早い対応が行われているものと考えられますが、対策が始まるまでに感染した人がどの程度いるかが問題です。

早ければ、日本でGW開けまでに沈静化のめどが見えてくるのではないかと思えます。しかし、その時点でも感染の拡大傾向が続く場合には、最悪ワクチンが出回るまで流行が継続する可能性があります。実際に日本国内で発生してしまった場合には、そこからの体制についてはまだ準備不足であることは否めません。

ただ、楽観的に考えられるのは、現時点ではメキシコ以外に死者がでていないこと。メキシコだけに死者が集中している理由についてはWHOも理由は不明としていますが、ウイルス自体の毒性は比較的強くないと考えられます。またメキシコに比べて、この時期日本は湿度がありますので、真冬のような通常の流行にはなりにくいのではないかと考えることができます。

2009年4月28日火曜日

豚は飛ばない

ですから、先週メキシコで数人の死者が出ているとの報道があった後、適切な報道が続いていれば、多くの日本人はメキシコなどへの渡航を控えたかもしれませんね。

ところが、日本のニュースは芸能人の酔っぱらい事件の話でもちきり。あのNHKでさえ、9時のニュースで会見生放送のエスカレートぶり。気がついたときには、世界のあちこちに広がっているという、何とも情けない状況。

ついにWHOが新型インフルエンザのフェーズ4を宣言。今日のテレビは、いろいろなあおるようなキーワードを使いまくっていました。もう、一部の人はゴールデンウィークが始まっているわけで、外国に出かけていった方々は少なくないでしょう。

それはさておき、豚は飛ばない・・・ですよ。鳥インフルエンザの怖いのは、鳥が飛んで移動してしまうことで、いきなり遠隔地でも流行する可能性があることでしょう。豚じたいはそんなに勝手な行動はしません。怖いのは、むしろ人間。

新型インフルエンザは一般には鳥インフルエンザの変異として考えられていて、昨年から医師会でも近くの大きな病院と何度も協議を重ねていました。災害担当の仕事をしていると、多少は関係してくるので、以前に自分もブログに書いたこともあります。

実際、豚インフルエンザというのはまったくNo Careであったことは否定できません。近い将来に発生することが想像されていたことではあるにしても、豚というのは驚きですし、現実に起こってみると、いろいろな対策の遅れは否めない。

幸いなことは、繰り返しますが・・・豚は飛ばない、ということです。しっかりとした水際作戦が行われれば、かなりのウィルス拡散を防止できると考えられます。また、メキシコでは死者が出ている物の、他の国ではまだないようです。これは医療事情がだいぶ違うことが言われています。

いずれにしても、いろいろな乱れ飛ぶ情報に翻弄されてパニックにならないこと。特にメディアは、慎重に冷静に、そして客観的に報道に徹することを望みます。

2009年4月27日月曜日

リウマチ新薬の副作用

関節リウマチの治療薬の中で生物学的製剤と呼ばれる物が、しだいに主流になりつつあるわけですが、昨年発売になったのは2種類、ヒュミラとアクテムラです。

5年ほどまえから、関節リウマチの新薬は発売になったあとも、全例登録という制度があり、使用した場合は副作用や効果の情報を報告する義務があります。

医者にとってはたいへんめんどうな報告書を出さないと行けないのですが、おかげで実際に使用されるようになってわかるいろいろな問題点が明確になり、使う医者にとっても使われる患者さんにとっても大変意義のあるものとなっています。

発売後半年の報告が出そろって、だいたい新薬の問題点なども見え始めてきました。

ヒュミラは2001例に使用され、有害事象の発現件数は451件で、このうち重篤な物が59件、死亡例はありませんでした。これらのうち薬との因果関係があると考えられる物は、そう多くないと思われますが、それを証明することは大変難しい。

重篤な物は肺炎と帯状疱疹が主な物で、肺炎は細菌によるものですし、帯状疱疹はウィルスによるものですから、感染症が最も重大ということになります。これは、薬の性質上予想されたことであり、医者もこのへんの対応策も十分に考えていないといけないことをあらためて確認できました。

ヒュミラは先行する他の生物学的製剤と薬理作用のターゲットは一緒で、2週間に1度皮下注射で使用するものです。それに対して、アクテムラは他のものとはターゲットが異なり、他の薬に効果の少ない患者さんへの有効性が期待できる反面、まだどのような問題が起こってくるか不明な点が多いわけです。

新聞報道でも死亡例の話が出たりしていて、正確な情報の把握が重要になっています。アクテムラは4182例に使用され、副作用の発現は1208件、このうち重篤な物は204件となっています。

死亡例はこれまでに22例報告かあり、そのうち薬との因果関係が否定できない報告されている物が13例でした。

ヒュミラに比べると問題の発生頻度が高いことがわかります。特に死亡例があることは大変重要です。これは、もともと他の薬が効かない重症度高い方に比較的使用されたということがベースにあると考えられます。

内容としてはヒュミラと同じで感染症が圧倒的に多いのは、薬の性質として当然ですが、比較的肝機能障害を起こしていることも見過ごせません。これも薬理作用からくるのではないかと想像します。

関節リウマチの診断・治療はもの凄い早さで進歩している分野で、生物学的製剤の登場は患者さんにとって多くの福音をもたらしてくれるようになっていますが、これらの薬を安全に使うためには医者のより一層の努力と患者さんの理解が不可欠です。

2009年4月26日日曜日

Dorati / Haydn Complete Symphonies

再三書いているように、自分はクラシックの中でも、どうも大がかりなオーケストラ作品はあまり好きではない。交響曲はその代表みたいなもので、どんなにベートーヴェンのピアノ・ソナタが好きでも、交響曲なら年に1回第九を聴けば十分なのです。

たぶん、ジャズなら最高な管楽器のキンキンした音が嫌なのかもしれません。もしかしたら、音量の変化がありすぎて耳がついて行かないのかも。たぶん音圧に疲れてしまうこともあるんでしょう。

ただし、ハイドンとモーツァルトの交響曲は別。ハイドンは交響曲の父みたいに言われますが、この2人の交響曲は、まだベートーヴェンのような「大作」というような完成度はなく、どちらかというと室内楽、あるいはちょっと編成の大きめのサロン・ミュージックという感じ。かなりお気楽に楽しむことができ、BGM的にも悪くない。

モーツァルトは50曲あまりの交響曲をのこし、これを全部聴くだけでもけっこう大変です。ところがハイドンは、なんと100曲を超えるといから驚きです。ですから、そんな一杯ある交響曲を一生懸命演奏しようなんて思う演奏家はほとんどいなかった。

現時点でも、副題のついたいくつかの有名なものはしばしば演奏されていますが、それは膨大な数の中からするとごくわずか。ほとんどは、最後の方の「驚愕」「軍隊」「時計」くらいでしょうか。

実際、自分も後半の交響曲のセットを3つ持っていますが、そうなってくると全部聴いてみたいと思うのは当然のこと。ところが、実際探してみると選択しは二つしかありません。HMVで探してみると、1987~2001年に録音されたフイッシャーの全集が、安くて有名なBrilliantから出ていて、CD33枚でおおよそ1万円という値段を考えればオンリーワンと思われます。

もう一つの選択肢が、その100数曲もあるすべての交響曲を初めて録音に遺したアンタル・ドラティです。1969~1972年にかけて、断片的なものも含めて全集を完成しました。当時はまだ古楽という考え方は無かったので、時代楽器などにこだわることはありませんが、曲としてのアンサンブルに重点をおいてハイドンの個性をしっかりと描き出されたものとして評価が高い。

ところが、もともと初発当時も大変高価なものだったわけですが、CDとなっても数万円するわけでちょっと買うには怖じ気づいてしまいます。じゃあ、フィッシャーにするかというと、ユーザーレヴューをくまなく読んでいて気になるのが音。ノイズがけっこうあるらしいし、宮殿の広間での録音で残響がけっこうあるようなのです。コンサートならともかく、録音として聴く場合には音の分離がしっかりしている方が好きなので、なかなか決断できないでいました。

ところが昨年末になってドラティの全集が廉価盤になって限定発売されるということがわかって、ほとんど躊躇無く予約してしまいました。しかも、値段は7000円を切るという破格の安さです。

1月末に手元に届き、HMVではすぐに販売終了となっていたので、待ち望んでいた人が多かったんでしょう。最近は別ルートから再入荷しており、まだ手に入れることができるようです。それにしても、さすがに膨大な量ですから、なかなか聴くには気合いがいります。

少しずつパソコンにMP3で落として聴いていますが、やっと30番くらいまできました。初期の作品は、曲としての完成度というと多少難はあるかもしれませんが、とにかく楽しく聴ける。ヴィバルディの協奏曲を「偉大なるワンパターン」と言うのと通じるところがありますが、これだけ楽しませてくれるなら文句の一つもありません。

2009年4月25日土曜日

くさなぎ君

今週の最も大きなニュースだったSMAPのくさなぎ君の逮捕。特別にファンというわけではない自分でも、いったいどうしたことかとびっくりしました。数日たって、だいたい最初の衝撃も薄らいで、メディアもちょっと冷静に物事を見ることができるようになったようです。

酔っぱらうところまではよしとしましょう。公園で騒いだことはまずい。そして、裸になっていたことも良いことであるわけがありません。しかし、そこからの展開は、やはり異常と言わざるを得ないと思います。

まず、逮捕。世の中には泥酔して騒いでいる奴はいくらでもいるでしょう。いちいち逮捕しているんですかね。警察が出動しても、一晩留置してお灸をすえて翌日帰って貰うというわけにはいかなかったのでしょうか。

公然わいせつと言っても、意図的にだれかにわいせつな振る舞いをしたわけでもないようです。さらに家宅捜索。酔っぱらいの家をいちいち家宅捜索する閑があったら、もっと捜査を進めて貰いたい事件は山ほどあるでしょう。

大臣は「最低の人間」と言ったかと思うと、その発言を撤回するという間抜けぶりをさらけしてしまいました。

あまりに、周囲の対応に余裕がなさ過ぎな印象を持つのは自分だけでしょうか。ちょっとののりしろを持たせておけば、ここまで大騒ぎをしないでもよかったんではないかと思います。すぐに他人の責任を追及する今の風潮の縮図を見たように思います。

日本で最も人気のあるアイドル集団のメンバーであり、確かにその言動や行動は若者に与える影響は多大です。今回の件が、普通のおじさんの泥酔とは大きな違いがあるのは否定できません。

CMの中止や出演番組への影響など、経済的損失もはかりしれない。さらに本人の、これまで作り上げてきた信用の失墜も相当なものがあるでしょう。

ただ、これまでの「いい人」的なキャラの重圧は大きかったのではないでしょうか。そういう意味で、今回のことが虚像を壊すいいチャンスになるかもしれません。より大きなタレントを見せてくれるなら、若い頃の武勇伝の一つとしてしまっておけるでしょう。

2009年4月24日金曜日

やせると死ぬ!!

最近の厚労省研究班の報告は、なかなか面白い。この前は、腹囲だけではメタボは診断できないというような、厚労省をこけにした報告がありました。

今度は、二十歳の体重より減った人の方が死亡率が高いという話。研究班のリーダーは国立がんセンターの先生。国立というところがみそ。つまり厚労省のお膝元。

9万人近い人を13年間追跡して、二十歳の時の体重から5kg以上減った人、マイナス5kgからプラス5kgの人、そして5kg以上増えた人の3つのグループに分けたそうです。

そしたら、マイナス5kgのグループでの死亡率が最も高く、体重が増えたグループでの死亡率は全体の死亡率と変わらないという結果だったということです。

つまり、これって肥満になっても死にやすいということはない、ということなんでしょうか。ある意味衝撃の結末、っていう感じです。

この数年、医療費抑制の目的で厚労省はメタボにとびつき、メタボを抑制すれば未来の病気人口を減らし医療費が削減できると訴え続けてきました。東大の某先生はまるで教祖のようにメタボ伝道師として行脚し、誇らしげに腹囲でなんでもわかると言わんばかりでした。

その結果、行政のサービスであった一般的な健康診断は中止となり、メタボだけに的を絞った特定健診が昨年から始まり、一般の方も医者も企業も右往左往させられています。

まぁ、どう考えても肥満の方が健康だというようなことはありません。肥満が様々なリスクになることは間違いないのです。ただ、今回の話もそれだけじゃない、ということを証明しているわけです。痩せすぎることは太ることよりもリスクとなり得るということなんでしょう。

まだまだ日本人の肥満は、欧米人に比べてたいしたことはないということらしいです。

ふぅ~。

2009年4月23日木曜日

高齢者向け講演会

本日は、去年も呼ばれて喋ってきたデイサービス施設での講演をやってきました。

そんなに多い聴衆がいるわけではないのですが、かえって直接聞いている方々とおしゃべりをするような感覚なのでやりやすい。

相手は高齢の方が中心ですから、やはり腰痛や膝痛についての話のリクエストになるわけですが、症状・治療法そして予防法と順番に話していくのが常套手段ではあります。

でも、いつも同じに喋っても自分も飽きてしまいますので、今日はいつもと違うアプローチをしてみました。

今日のテーマは関節痛、特に膝だったので、関節の構造と関節の老化現象の病態の説明を主眼にしてみました。少し医学的で難しかったかもしれません。

でも、病態を理解できると、自然とどういう症状がでるか想像できるわけです。そして、予防法も考えやすい。

というのは理屈ですが、もちろんそれだけでは一般の高齢の方には面白みはないでしょうから、時々脱線して小話風のものをできるだけしてみました。

いつも書いているように、こういう会は嫌いではないので、話があればできるだけ引き受けるようにしています。何回かやっているうちに、だんだん上手くなると思いますので、次回はさらに期待してください。