2019年12月1日日曜日

Dietrich Fischer-Dieskau / Mahler Lieder

ドイツ・リート界で、この人を抜きでは全く語れないほどの大御所と言えば、間違いなくディートリッヒ・フィッシャーディースカウ。2012年に86才で亡くなった時は、まだ歌物はほとんど聴いていなかった自分でさえ、なんかすごい人がこの世を去ったと感じたものです。

多くの作曲家の歌曲全集を完成させ、またレーベルを超えて多数回録音しており、残された遺産はあまりに膨大で、ちょっと見まわしただけでは把握できないほどです。特に、hyperionがCD40枚のシューベルト歌曲全集を作ろうと、フィッシャーディスカウのCD21枚の歌曲集の価値を上回るものではありません。

当然、マーラー作品でも60~70年代のバリトンは、フィッシャーディスカウの名盤が目白押しです。

オーケストラ物では、セル指揮、シュヴァルツコップとの「少年の魔法の角笛」を筆頭に、バレンボイム指揮ベルリンフィル、クーベリック指揮バイエルンRSOなどがあります。交響曲は2、3、4番は女性歌唱なのでさすがにありません。

ピアノ伴奏物としては、1968年録音バーンスタインのピアノによるものと、1978年録音のバレンボイムとの物が有名。

バーンスタインとは、「若き日の歌」から11曲、「さすらう若人の歌」の全4曲、「リュッケルト歌曲集」から4曲という内容。

一方、バレンボイムとは、「若き日の歌」全14曲、「さすらう若人の歌」全4曲、リュッケルト歌曲集」全5曲に加えて、「少年の魔法の角笛」全12曲も網羅しています。

「亡き子を偲ぶ歌」は、フルトヴェングラー、ベーム、クーベリック、バレンボイムによるオーケストラ伴奏が残っています。

どれかを一つ選べと言うのは難題で、同一演奏者絡みで全曲制覇を目指すならバレンボイムということになるんですが、歌手を邪魔しないけど凄く味のあるバーンスタイン伴奏盤は、曲数が足りないところが残念ですが一押しにしたいところ。

フィッシャーディースカウは、温かみのある声質で、歌い方にも変な癖が無い。初心者でも聴きやすいし、聴きこんだ方にも安心のテクニックで、マーラー物でもいずれもが聴く価値のある名盤です。