2019年12月26日木曜日

Lorin Maazel WPO / Mahler Symphony #3 (1985)

マーラーの交響曲第3番は、長い曲ばかりのマーラーの中でも頭抜けて長い。標準で約100分で、ギネスに一番長いと認定されていたほど(実際はハヴァガル・ブライアンのゴシック交響曲の方が上かもしれない)。

さて、マゼールです。第3番です。36分55秒、11分44秒、18分27秒、9分21秒、4分22秒、29分54秒という具合で、全部で110分43秒です。一般に知られている第3番の演奏としては、最長かもしれません。

実際、長いです。出だしのファンファーレはやや遅いかなって感じなんですが、そこからがずっと遅いテンポを押し通します。ゆっくりした演奏は、重厚感が増して説得力が増加する・・・と言いたいのですが、自分の感想としては、このテンポは生理的に辛い。

グレン・グールドがゴールドベルク変奏曲を再録音する際に、音楽の流れとしての「パルス」を重視したのは有名な話ですが、テンポ設定は極端に変えると、パルスから外れ聴いていてつんのめってしまう感じがします。ただし、パルスの感じ方は個人個人でいろいろですから、ビタっとはまる人には名演になります。

シカゴ響のアバドは、早い演奏が多いネーメ・ヤルヴィは99分21秒、シノーポリでも99分39秒。快速シェルヘンでも95分30秒で、この曲に関してはあまり冒険する人はいなさそうです。

マゼールは、アバドと同世代のフランス人。アメリカで芽を出し、1980年代前半にウィーンフィルとの密接な関係が頂点。ベルリンフィルのシェフのポストをアバドにとられたことがかなりショックだったらしく、その後の活躍にも影響が残ったらしい。

マーラーについては、80年代に初の同一オーケストラ(ウィーンフィル)による全集を完成し、その後もフィルハーモニア管弦楽団との全集も作っています。他のオケとの録音もたくさんあるんですが、この6番に限らず、マーラー物はあまりやりたいことが見えてこない演奏が多い感じがしてしまいます。