2022年3月21日月曜日

タリアータ


牛肉のステーキのイタリア流の食べ方がタリアータ(tariata)。タリアータはステーキの薄切りという意味。やることはすごく簡単で、ステーキを焼いてバルサミコ酢のソースをかけるだけ。今回は、日高シェフより一世代上のイタリアンの巨匠、片岡譲シェフの動画を参照しました。

大事なのはステーキの焼き方。高級な霜降り肉だろうと、安売りの赤身肉だろうと、原則は共通。一般的には冷蔵庫で保管しているので、冷たいまま焼くと中まで火が通る前に外が黒焦げになってしまいます。通常は冷蔵庫から出して1時間くらい待って常温に戻すのが基本。冷凍していた肉の場合は、まず冷蔵庫に移して半日以上かけてゆっくり解凍します。

塩を振ると、肉内の水分が旨味を伴って出始めます。ですから、塩を振るのは焼く直前でOK。場合によっては焼いてから振るというのもありです。加熱して筋肉繊維が縮まるので、何か所かに繊維方向に直角の切れ込みを入れておきます。自分は、フォークでぶすぶす刺して筋繊維を切るというのをやってましたが、これは肉汁の出口を作るだけで推奨されません。

油を入れたフライパンは、できれば煙が出るくらい高温にしておきます。肉は加熱をするとたんぱく質が固まり噛み切ることができます。ところが、65℃を超えると急激に硬くなって身が締まり、かつ旨味の肉汁が外に出始めてしまいます。

ですから、まず高温で表裏をいい具合に焼き色が付く程度に焼いて(側面も忘れずに)、肉汁を中に閉じ込めたら、肉は火から下ろしてアルミホイルなどで包みます。焼いている時間は肉の厚さにもよりますが、レアが良ければ各面数十秒~1分程度。

後は余熱で、数分~10分間程度かけて中心までゆっくり火を通します。片岡シェフは、焼いたフライパンにくしゃっとさせたアルミホイルの台を置き、その上にアルミホイルごと焼いた肉を乗せ蓋をしていました。

さて、これだけでも十分に美味しいビーフ・ステーキが焼けたところで、イタリア料理らしいソースを用意します。ここで登場するのがバルサミコ酢。高級なものなら最初からソースとして使えるトロミがあるらしいのですが、安いものはサラっとしているので煮詰める必要があります。沸騰させてツンとする酸味を飛ばしつつ、半分くらいの量になるとめちゃめちゃ旨い。

完成したステーキは食べやすい大きさに薄切りにします。ここがタリアータと呼ぶところ。薄切りと言っても、5mm~1cmくらいはあったほうがステーキらしい。少し斜めに切るとオシャレです。皿に並べたら、バルサミコ酢ソースをサッとかけまわし、バルミジャーノ・チーズを振りかければ完成です。

薄切りにするので、焼き方さえ間違わなければ安い肉でも問題なし。めちゃめちゃ美味しくて、久しぶりに肉を食べたぁ~という感覚になりました。