15世紀後半~16世紀前半のヴェネチアの人物で、画家のヴィットーレ・カルパッチョは、「聖ウルスラ物語」と呼ばれる連作絵画で知られています。そのカルパッチョが、バルミジャーノ・チーズをかけた薄切りした牛生肉が好物だったらしい・・・
嘘かホントか、そんな逸話から始まったのがカルパッチョ carpaccio。イタリア料理の中では、前菜、アンティパストとして出てくる代表的な料理。日本では、イタリア料理界の巨匠の一人、落合勉氏が刺身に慣れている日本人向けに肉の代わりに魚を使ったものを創作し広まったといわれています。
もともと生肉を食べる習慣が一般的ではない日本ですし、特に近年は食中毒の問題でますます生肉は避ける傾向がありますので、海鮮食材を使ったカルパッチョは、日本で受け入れやすかったのだろうと思います。
基本は魚介は何でもOKだと思いますが、問題はソースです。面倒なら、買ってきたそれなりのドレッシングをかけるという簡単な方法もないわけじゃないのですが、イタリア感は薄まってしまいます。
最初は帆立とタコです。食感の違う素材を組み合わせてみました。
ソースは、イタリア料理のサラダのスタンダードな味付けで、塩・胡椒、そしてオリーブ・オイル、酸味はレモン汁です。まぁ、いかにもイタリアンという味付けで、可も無し不可も無しというところ。
ただ、見栄えを良くするため、というか見た目の派手さを増すために、生トマトとピーマンのみじん切りを混ぜてあります。トマトは、やはり見栄えを気にして湯むきして種は取り除いてあります。
味を変えて、もっと派手にしてみたのがこちら。
欲張って、真ん中に日高式カプレーゼを盛ってあります。薄切りではなく4分割したフルーツトマトとちぎったモッツァレラとバジルに、塩・胡椒・オリーブ・オイルだけというもの。薄切りよりも食材の味がしっかりわかるので確かに美味しい感じが増したように思いました。
さて、カルパッチョ・ソースですが、見ての通り緑色。市販のジェノベーゼ・ソースを利用しました。もともと少し塩味がついているので、これに追加したのは胡椒・摺り下ろしニンニク、そしてワインビネガーとオリーブ・オイルです。
ワインビネガーだとレモンよりフルーツ感が減りますが、ここではフルーツトマトの味がいかせるかなと思いました。ジェノベーゼによってイタリア感は強まりますが、素材の味をダメにすることは無く、この組み合わせは高評価です。