2022年3月10日木曜日

オリーブオイルの話


オリーブオイルは、その名の通りオリーブの実から採取される油のこと。オリーブの木は主として地中海沿岸で栽培され、それらの地域の調理には欠かせない食材であり、オイルは調味料としの役割が大きく、時にはそのまま飲用としても使われています。世界のオリーブオイルは、40%はスペイン、20%はイタリア、そして13%がギリシャで生産されています。

日本ではオリーブオイルは「食用植物油脂の日本農林規格(JAS規格)」で規定されていて、酸度0.6以下の精製オリーブ油( おおむね清澄で、香味良好)と酸度2.0以下の単なるオリーブ油(オリーブ特有の香味を有し、おお おおむね清澄)の二つの分類されています。

スーパーに行くと、だいたいどのオリーブオイルにも「エクストラ・バージン」という表記がされていますが、バージンというのは実を絞っただけのものという意味。エキストラは国際オリーブオイル協会が規定しているもので、さらに酸度が0.8以下で官能検査で合格したものだけが名乗ることができます。

JAS規格で精製オリーブ油とされたものは、酸度だけならエキストラ・バージンなんですが、ここで日本の規格にない官能試験に合格しているかどうかが品質として重視されます。官能評価は、専門の訓練を受けた複数のテスターによって、フルーティーさ、苦味、辛味など数多くの評価表にもとづいて風味をチェックするもの。

バージン・オイルでも、エキストラ以外に酸度2.0以下で官能検査でやや欠点ありのファイン、酸度3.3以下で官能検査で欠点ありのオーディナリー、そして酸度3.3を超えそのまま食用には適さないとされるランパンテがあります。

さらに酸度は低くてもランパンテを精製したリファインド、搾りかすから抽出したポマースと呼ばれる精製オリーブオイルがあり、その精製オリーブオイルにバージンをブレンドした単なるオリーブオイルも存在します。

高級な品質を保つため、実の採取は機械式よりも実を傷めにくい手摘みが良いとされますが、当然手間がかかります。基本的には、ペースト状にしたオリーブの実の絞り果汁を水と油に分離するだけですが、伝統的には手作業で不純物が混ざりやすい。現在は機械による圧搾が主流です。あえて風味を増すために果肉を残すものもありますが、その代わり腐敗しやすく賞味期限が短くなります。

オリーブオイルはしばしば健康には良いとされますが、その理由は主成分の一つであるオレイン酸が多いこと、そしてポリフェノールを多く含むことに関係します。オレイン酸は悪玉コレステロールを減らし、ポリフェノールは抗酸化作用があるため動脈硬化を予防しやすいことがわかっています。もっとも、油は必須栄養素ですが、取り過ぎは要注意。

料理に使うオリーブオイルは、通常はエキストラ・バージンを選択すれば間違いないのですが、風味はまちまち。最終的には個人の好みで選択すればいいのですが、風味が強すぎると素材の味を殺してしまう場合もある。

炒めたり揚げたり加熱して使う場合は、風味が落ちてしまうので、あまり高級なものを使うメリットは減ってしまいますので、メジャーなメーカーの比較的安価なオイルで良いと思います。魚料理にはスッキリ系、肉料理には濃厚なものが向いていると言われています。

日高シェフの店でのお勧めは、加熱用は安価なアウリア、仕上げ用はオールマイティに使いやすい高価なサルバーニョが基本。安価と言っても2.8円/mlで、自分が使っているボスコが1.2円/mlなのでだいぶ高級。サルバーニョは3.9円/mlです。さらに魚介系に向いていると紹介しているのがチェトローネのインテンソ(12円/ml)、さわやかさを求める場合はチンクエコッリ(8.4円/ml)などだそうです。

他にはネットをいろいろ探していると、いろいろなものが出てきます。アルドイノ(3.1円/ml)、プラテナ(4.9円/ml)はしばしば高評価の物として登場しますし、スーパーでも見かけやすいヴィラブランカ(1.9円/ml)はコストパフォーマンスが良いとされているようです(価格はAmazonでのもの)。

いずれにしても、開封すると酸化が始まり風味が落ちていくので、我々一般人は一つを使い切ってから次を試すのが大事ということですね。