イタリア料理にはまってみると、やたらとニンニクを消費しているような感じがして、最重要食材の一つのように思ってしまいます。ところが、日高シェフが若い時、イタリアでの武者修行で、日本人的に普通の量のニンニクを使ったまかない料理を作ったところ、こんなもの食べられないと怒られたという逸話があります。
つまり、主としてニンニクを使うのはイタリアの中でも南部地域で、基本的には香りづけとして用いるもので、ニンニクの味そのものを楽しむというのはほとんどありません。北部ピエモンテのバーニャ・カウダは、ニンニクがメインのかなり例外的な郷土料理です。
日本のニンニク味バリバリのペペロンチーノは、日本向けに特化した味付けということです。とは言え、イタリア料理の味のベースになる大事な調味料みたいなものですから、ちゃんと利用することが大事。
そもそもニンニクとは・・・そんな大袈裟に構えることも無いのですが、英語でガーリック(garlic)、フランス語でアイユ(ail)、そしてイタリア語だとアッリオ(aglio)です。漢字だと大蒜(おおひる)となり、ヒガンバナ科ネギ属の植物で、茎も食用にしますが、一般に料理に使用しているのは球根の部分。
インド、中国、韓国料理でも重要な食材で、もともとは中央アジアが始まりらしい。紀元前から、主として肉食文化と共に世界中に広まりました。日本では、外からの軋轢を耐え忍び自分自身の欠点も認めるという仏教用語の「忍辱(にんにく)」が語源とされ、香り高い青森県産が有名でます。
一般にニンニクを食べると元気になる、と言われることが多いのですが、科学的な確証ははっきりしない。少なくとも、ビタミンB6と、ビタミンB1吸収を促進するアリシンをたくさん含んでいることから、何らかの健康増進効果が期待できることは間違いない。
本来無臭のアリインが、細胞が壊れた時にアリシンに変化し空気に触れて酸化すると、あの独特の臭いのもとになります。体臭としては個人差はあるものの、半日くらい残ると言われています。牛乳のたんぱく質や緑茶のカテキンは防臭効果が期待できるので、注意したい方は先に飲んでおくと良いと言われています。
イタリア料理の話に戻ると、基本的な使い方はニンニクの一片を、大まかに潰すか、スライスするか、あるいはみじん切りにして、オリーブオイルを入れたフライパンに入れます。
なお、中心に芽が出始めていたら、苦みの原因になるので取り除いておきます。料理に混ざって構わない時はみじん切り、残したかったら荒く潰した使い方が良い。
この時まだ火はついていないことが大事。ゆっくり過熱していくと泡が出始め、ここでニンニクの旨みがオイルに移っていきます。焦がしてしまわないように注意して、火を止めるか、次の食材を入れます。
日高シェフは、あらかじめみじん切りにしたニンニクをオリーブオイル漬けにしておくことを勧めています。毎日のように使うわけではないので、みじん切りのチューブのニンニクも売っているので使いやすいかもしれません。