2007年10月3日水曜日

医師会へ加入すること

最近の相撲協会は話題に事欠きませんが、今日龍虎(元放駒親方)が面白いことを朝の番組で言っていました。
「相撲協会は親方の集まり。親方はひとつの商店みたいなもので、相撲協会理事長は商店街の組合長みたいなもの。それぞれの商店のやり方に口を出せない。商店のひとつが不祥事を起こしても、責任は商店主がとるものであって、組合長は関係ない」
なるほど、と思いました。ただ、国技という責任あるスポーツを束ねていくのですから、まったく知らぬ存ぜぬでは通らないでしょう。国技として優遇されている部分は公的なところなんですから・・・

そこで、強引に医師会の話です。Doctor Mがブログで医師会について書いておられたので、自分も改めて医師会というものについて考えてみました。
医師会というのは、一般の人から見るとどのような組織なんでしょうか。開業医が集まった協同組合みたいなもので、ある時は圧力団体というところでしょうか。建前としては、開業医だけでなく勤務医を含めた医者全体の非営利組織であり、加入は任意です。昔は、加入していないと、実質的に開業医は仕事にならず、ほとんど入るのが当たり前で、実際に政治に対して圧力をかけていました。

現在はかなりの未加入の開業医が存在しますし、一部の業務についてはできませんが、ほとんど多勢には影響はありません。しかし、加入する医者のほうが多いし、ある程度の大きさの病院では、医長クラス以上はたいてい加入します。
医師会も相撲協会と同じで、ひとつひとつのクリニックは個人営業であり、医師会に加入しているからといって、営業方針を強制されるわけではありません。医師会の仕事は、それらのばらばらの個人事業所の共通の利害関係を整理し代行することにあります。それらのほとんどは、地域への貢献と医者同士の連携ということでしょうか。従って、目に見えるような得することがあるわけではありません。

地方自治体から、いろいろな事業を委託されたり、地域のイベントを主催したり参加することで、一般の方の健康を維持する一翼を担っています。このような公的な仕事は、医師会に加入しない個人では出来ないことで、より積極的な貢献だと思います。保健所の仕事を手伝って、いろいろな予防接種などに協力し、簡単な休日・夜間救急を輪番で行っています。大病院が、重傷度の高い救急しか扱わないような現実が実際にありますので、これらは大変重要な仕事です。
医師会に入るか否かは、これらの仕事に関わっていくつもりがあるか無いかで決まってくるのでしょう。自分のクリニック以外の「余計な仕事」はしたくないならば医師会に入らないほうがいいです。積極的に医師会の仕事をしたくはないという気持ちもわかりますが、組織に加入すれば、なんらかの制約が生じることは避けられません。

病院と診療所、あるいは診療所と診療所の連携も大変に重要です。個人商店の各クリニックだけでは、いろいろ限界がありますが、協力することでできなかったこともできるようになります。診療そのものも、営業的なノウハウについても情報交換をしやすくすることが、医師会に入っている大きなメリットの一つです。

しかし、確かに医師会という組織に問題が無いわけではなく、むしろ問題がたくさんあるというのが実際のところでしょう。まず、OPENではないということがあります。入会からして、入会金などは公表されていません。大阪では500万円ともいわれています(横浜はそんなことはありません)。また、確かに古い体制をひきずっているところがあり、もっと今風の構造改革はあってもいいでしょう。

特に都筑区のように、診療所が乱立している地域では、新規の商店が増えれば客を獲られるということから、既得権に固執するのも頷けます。建前では、より一層の努力をしていくことが普通の商店での生き残り策なわけですが、医療は制約が多く、広告はできず診療費の値引きもできません。また自費診療を混在させることも多くの場合規制されています。
さらに「医療改革」の名の元に診療報酬は引き下げられる一方で、自己負担増から患者数も伸び悩むという状況では、新規開業をそのまま受け入れることは死活問題なのです。医師会の中にも、新規参入を防ぎたいという意見が出ることは止められません。自分も本音の部分では、同意せざる得ません。しかし、少しでも専門的にも特化した部分で、他の診療所と差別化していきたいと考えますが、政治家は「総合診療科」という形式に打ち出し、診療所のカラーを無くす方向性を考えています。
医師会というのは任意組織ですから、根本的に会員の利益を優先して考えることは当たり前で、現実に開業医が中心となっている組織である以上、現実の医療の現場との整合を考慮して、このような問題になんらかの対策をとっていくことは正当なことであろうと思います。

ただ、自分は政治家ではありませんし、今まで自分が蓄積してきた知識と技術を医術という形で、還元していきたいだけです。一度に何百人もの人を治すこともできませんし、最近流行の「神の手」のような注目されるようなことをやっているわけでもありません。一人一人をこつこつと治療して、喜んでもらいたいだけなので、地域という空間は当たり前のことですが大変重要な要素だと考えています。その重要な空間に溶け込んでいくためにも、都筑区医師会という組織は存在価値があると考えます。
上部組織である横浜市医師会、神奈川県医師会、日本医師会となっていくと、地域からは離れていき、患者さんよりも医者同士に向いている割合が増えていくように思います。もちろん必要な組織ではあるのですが、これらについては人にまかせておきたいと思うのはわがままでしょうか。

なんだか、いつもあまり深く考えずに書き出してしまうので、こういう話はいつもまとまりがなくなってしまい申し訳ありません。もっと書くと、さらにまとまりがなくなり、さらにぐちになってしまいますので、今日はこの辺で・・・・