亀、・・・といっても最近世間を騒がせているのは梨ではなくて田。試合前は、例によって挑発的なパフォーマンスを繰り返し、試合は今更言う必要は無し。そして、その結果ボクサーライセンス停止。お父さんはセコンドライセンス停止。
某テレビ局が無名時代から一家を追い続け、ボクシングとしいう固い絆で結ばれた家族のドキュメント、といえば美しいが、いつの間にかテレビ向けにエスカレートした感は否めません。どこからか、視聴率を取るために暴走し始め、テレビ局もあおったことはまちがいありません。今回のことで、一気にブレーキがかかりましたが、だからといって本人たちはメディアにいじられた被害者とはいえません。彼らの本質的な部分が見えたというと酷かもしれませんが、少なくとも彼らが祭り上げられていく過程を拒否することはなく、すんなり受け入れていたのだと思います。
今回の主役は、頭を丸めて無言の会見に出席しました。頭を丸めたのは誰に対して? と問いかけたいです。家族に対してではないかと、考えてしまうのは自分だけでしょうか。意気消沈して、精神的にダメージが強いとのことで、あまり未来のある若者を責めていけないという論調もありましたが、通常の18才にはとうていできないような世間に対する挑発をし続けてきたわけですから、それに対してのきちんとした責任は取ることは必要ですし、その後でもう一度チャンスをしっかり与えることが「未来のある若者」に対する世間の正しい対応ではないかと思います。
でも、どこかでちゃんと止めることができなかったことが悔やまれますよね。めんどうを見ていたテレビ局の上の人、所属ジムの人、ボクシング協会の人、あるいはスポーツメディアの人など、チャンスはたくさんあったと思います。自分たちも、どこかで「何だこいつら」と思いながら、それを楽しんでいたところがあったのかもしれません。あらためて、メディアの作る虚像というのは知らぬ間にいろいろなところにばらまかれているのだろうと考えてしまいました。
あしたのジョーは、自分の子供の時に少年マガジンに連載し、もの凄い人気がありました。ライバルの力石が漫画の中で死んだときに、実際に葬式が行われたことにびっくりしたことを覚えています。矢吹ジョーは、世間に対して否定的な行動をし続けていましたが、ボクシングそのものにのめりこんでいくにつれて「大人」になっていきました。その成長していく姿が、いまでも共感をもてます。
亀一家がただのチンビラで終わるか、矢吹ジョーのように何十年たっても忘れられないような存在になれるか、ここが分かれ道のようですね。