2010年12月19日日曜日

R.Podger / Mozart Violin Sonatas

よく書いていることですけど、クラシック音楽で古楽という分野があって、その曲が作られた時代をできるだけ忠実に再現しようということで、主として当時の楽器や編成によって演奏するわけです。

自分の場合は、あまりこだわらない部分でして、どうあがいてもタイムマシンでも無い限りは完全な再現は不可能でしょう。単純に曲が良くて、演奏が良ければ、それがたまたま古楽器による演奏だったという感じなのです。

モーツァルトのバイオリン・ソナタは、ムターのCD4枚組のものを持っているのですが、モダンバイオリン+モダンピアノの演奏ですけど、近年のものとしては大変優秀な演奏だと思っています。

ただ、選集であることだけがちょっと物足りない。もともと、モーツァルトのバイオリン・ソナタは初期の物は、バイオリン伴奏付きピアノ・ソナタという位置づけだけに、バイオリニストからはやや軽く見られているようです。名だたる大御所のソナタ集は数あれど、全集を見つけることはまったくないのです。

そこで、レイチェル・ポッジャーの登場です。ポッジャーは21世紀に注目されてきたバイオリニストで、最大の特徴は古楽器を使用していること。モダンバイオリンに比べると、やや音は太い感じで響きも少ない。ところが、ポッジャーは、これをよく鳴らすんですね。

2004年から2009年までかけて、ポッジャーがモーツァルトのバイオリンとピアノのためのソナタの全集録音を完成させました。当然、初期の物も含む完全版というところが、最大の魅力。8枚のCDを順次発売したのですが、なんとこれがSuper Audio CDという高品質CDなのです。

確かに素晴らしい録音だと思うのですが、どれほど音がいいのか、ぼんくらの自分の耳にはよくわかりません。それより、困ったことは値段が割高で、全部まとめて買うと2万5千円近くになってしまうのです。

ところがHMVが年末バーゲンで嬉しいことをやってくれました。2000円均一のリストのなかに、これを入れてくれたんです。しかも、今ならポイント15倍、ダイアモンド会員の自分は30倍というまたとないチャンスです。通常価格が2700円のところが、実質1400円で買えるとなれば、これを逃す手はありません。

ムターの艶のある響きも良かったけれど、ポッジャーの温もりのある音も捨てがたい。初期の曲では、ゲーリー・クーパー(映画俳優みたいな名前)のフォルテ・ピアノのポコポコした音が時々耳に付くことがありますが、なるほどそれで普通の演奏者はやらないんだな、とかえって納得したりしています。