よく医者の説明は専門用語が多くて、患者さんにとっては難しいということをよく聞きます。関節リウマチという病気の場合、特に免疫学という特に医学の中でも難しいジャンルが絡んでくるために、なかなか簡単に説明すると言うのは・・・
関節リウマチという病気の説明を、あえて恐れずに目一杯簡略化して説明してみます。
遺伝子と言う体の「設計図」の中の普通は表に出てこない部分が、何らかのきっかけでスイッチがはいり、自分の体中の関節内の滑膜に自分でアレルギー起こす病気です。
その結果、関節内に炎症を起こし腫れと痛みを生じます。関節内では、サイトカインという物質によって骨が破壊され変形し、様々な機能障害を伴います。
以上で約150文字。なかなかこれ以上簡単にはできない。この中のキーワードとなる専門用語については、相手の理解度によって追加で説明することになります。
遺伝子は生物の最小構成単位である細胞の中にある核に含まれるDNAと呼ばれるもので、この構造によってどういう昨日を持った細胞として増えていくかがきまってきます。
関節は手足の骨と骨が連結して動く場所のことで、関節包という袋に包まれて、その内面にある薄い滑膜から染み出てきた潤滑剤である滑液が入っています。
アレルギーは免疫機能が過剰に反応した状態。体の中で、外から入ってきた細菌のような邪魔なもの(抗原といいます)を排除するために、抗体というものを作って処理することを免疫といいます。
炎症は傷害された組織を修復するために、体の中で起こる正常の反応のひとつです。しかし修復するための細胞を集めるために血管が拡張して、局所が腫れて痛み、熱感と発赤を伴います。
サイトカインは一番難しい。よほどの専門家でないと、完全に理解している医者はなかなかいるものではありません。炎症を起こしている場所で、いろいろな情報を伝達するたんぱく質でホルモンみたいなものと言われています。
ここまで理解してもらえると、治療についてはそのターゲットとすべき部分がわかりやすい。つまり、異常な免疫反応を抑制するか、サイトカインをブロックするか、変形した部分を修復するといったことが治療につながるわけです。
例え話で説明すると、山の上からリウマチと言う水が湧いているとします。湧いている場所を一生懸命塞ごうとしているのが免疫抑制治療(主としてメソトレキセートなどの抗リウマチ薬)。流れてきた水が海に注がないようにせっせとくみ出しているのが抗サイトカイン治療(生物学的製剤)。そして海に塩を加えてそれ以上に薄まらないようにしているのが変形修復のための手術ということになりましょうか。
まぁ、どうもこういう話は無理に例えたほうがわかりにくいかもしれません。時にわかりやすく説明をしようとすればするほど、何が何だかわからないことになるものです。とにかく、限られた時間で患者さんに納得してもらえるための自分のシナリオがこんな感じでしょうか。