2012年1月8日日曜日

Arion Trio / Schubert Complete Chamber Musics for Piano Strings


去年あたりからはまっているのがシューベルト。ピアノ・ソナタは、最初とっつきにくい感じがして、自分もはじめは苦手でした。しかし、聴き込んでいく美しい旋律と絶妙の間のあけかたがとどれも素晴らしい。シューベルトは膨大な歌曲が有名ですが、さすがに器楽曲でも天性のメロディ・メーカーとしての才能を遺憾なく発揮しています。

室内楽のといくくりで、以前は弦楽四重奏が好きでした。シューベルトも名盤の誉れの高いメロス四重奏団の全集を持っているのですが、意外とあまり聴かないんです。何故かと考えてみると、基本的に和音が得意ではない弦楽器ですから音が少ない・・・つまり薄い感じがするからでしょうか。

むしろ五重奏曲などのほうが音の厚みが補強されて良い感じですが、そういう意味で弦楽オーケストラの作品も気に入っています。しかし、オーケストラに匹敵するといわれるピアノが入っている方が、より音楽の幅が広がる感じがして、このところマイ・ブームになっているのです。

ピアノとバイオリン、あるいはピアノとチェロなどは通常ソナタと呼ばれます。ピアノとバイオリンとチェロになるとピアノ・トリオ。あとは弦楽器が加わるごとにピアノ・クァルテット、ピアノ・クインテットとなります。加わる弦楽器はバイオリン、ヴィオラ、時にはコントラバスだったりして、けっこうバリエーションは多い。

バイオリン・ソナタはクレメールピアノ・トリオはシフ、ピアノ・クインテットはメロス・アンサンブルという具合で、今までばらばらに聴いていたシューベルトのピアノ+弦楽器による室内楽集成というセットを購入しました。

これは20年くらい前の比較的古い録音ですが、スウェーデンのBISという良質な室内楽・独奏の録音を数多く出しているレーベルが制作した物。核となっているのはArion Trioというピアノ・トリオ。あまり有名ではありませんが、有名な曲のCDはたいてい出している堅実な演奏をするベテランです。

ここに曲によって追加の弦楽器が加わって、CD4枚ですべてを一度に聴けるというお得なセットです。音質もさることながら、演奏者の統一感があるので、全体を通して同じムードのなかで聴き通すことができるところがよい。もちろん、演奏内容としても悪くはありません。

室内楽・・・まさに、すぐ目の前で演奏しているような親密感と気楽に聴ける楽しさが、しっかりと詰まった掘り出し物のセットだと思います。