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2013年4月15日月曜日

リウマチ新薬で異例の対応

3週間くらい前に、関節リウマチの新薬として5月ごろに発売が予想されている新薬について紹介しました。それはファイザー薬品のトファチシニブで、ゼルヤンツという名前で登場する事になっています。

関節リウマチの治療を激変させた生物学的製剤は、これまで登場したものは点滴または皮下注射で投与します。しかし、トファチシニブは、初めての内服薬ということで、より使用方法が簡便になることが画期的と言えます。

また、今までの製剤が細胞外での作用であったのに対して、細胞内での作用機序というのも初めてのことで、どうしても従来の薬で効果が少ない患者さんにとっても期待が膨らむことになります。

ただし、治験の段階から言われていた事ですが、この新薬については副作用の問題が今までの生物学的製剤より指摘されています。日本リウマチ学会は、今月はじめHPトップにこの点を掲載しました。

これは異例の対応ということが言えそうで、学会がより慎重な使用の注意を喚起しているというのは、医師だけでなく患者さんにも対してのメッセージということでしょぅか。

主な趣旨は以下のようにまとめられます。

日本リウマチ学会からファイザー製薬に対する要望
1. アメリカでは高い効果により5mg/日が認可されたが、安全性未確認にため10mg/日は非認可
2. 使用する時間依存的に副作用か増えている
3. 使用する用量依存的に副作用が増えている

4. 経口薬のため安易にしようされる可能性がある

ファイザー製薬からの回答としては、これらのことは十分に認識にしており、十分に注意を喚起し、使用できる施設・医師ついてもそれなりの制限を加え、また発売後の全例調査についても長期間を行う事としています。

あまり曖昧なことを書くべきではないので、現段階ではこれ以上の情報の紹介はできませんが、確実に言える事は、薬を生かすも殺すも使う製薬会社と医師の考え方が大きく影響するということです。

過去に期待された関節リウマチの新薬であるにもかかわらず、製薬会社がほぼ捨ててしまいほとんど使用されていないものが存在します。これは大変もったいないことで、今回のトファチシニブもいろいろな点で期待される薬ですから、しっかりとした対応をしていくことが求められ、学会の対応もその点を考えてのことであろうと考えます。

患者さんの側も安易に期待するのではなく、しっかりとベネフィットとリスクの情報を吟味することが大切です。自分たちのようなリウマチを専門とする医者も、その情報をしっかりと伝えられるように努力したいと思っています。