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2013年4月21日日曜日

愛と追憶の日々 (1983)

最近、巷では泣き男子というのが流行っている(?)らしく、人前で平気で泣く男性にいろいろな意見が出されているようです。まぁ、男は簡単に泣くものではないみたいな、堅苦しいことは前時代的な発想でもありますし、泣きたいときには泣けばいい・・・

映画にも泣ける映画というのがあるわけで、昔だとたいていそういう7映画は悲恋物だったりして、女性は泣いても男が泣くことはなさそうです。最近では「タイタニック」あたりが代表昨でしょうか。

そういう路線とは別に、70年代くらいから感動のヒューマン・ドラマというようなものも、続々と出てきました。この手の映画は、男女の区別無く誰が見ても感動するようなっていて、当然いろいろな賞の候補にもなりやすい。

スピルバーグあたりは、そのあたりがややわざとらしくて、いかにも賞を取りに行きましたと言わんばかりの作品が軒並み連ねて鼻につくのですが、実際にアカデミー賞作品の中に、これは誰もが一度は見るべきだと思える作品は少なくありません。

シャリー・マクレーンは、ちょっとはすっぱな感じ・・・いわゆるコケティッシュと言うんでしょうか、積極的に名優と呼ばれることがなかった女優さんでしたが、1977年の「愛と喝采の日々」は、アン・バンクロフトとの競演で、女同士の友情を見事にハーバート・ロス監督で演じました。

ところが、アカデミー賞でも多くの部門にノミネートされ、受賞の最右翼だったのですが、ふたを開けるとウッディ・アレンの「アニー・ホール」にやられてしまい、無冠で終わったのです。

しかし、マクレーンはここから演技派として成熟した本当の女優になったというと大げさですが、その花を大きく咲かせたのが1983年の「愛と追憶の日々」でした。

タイトルは、明らかに二匹目のどじょうを狙った、日本の配給会社の作戦でしょうが、でも内容はほぼタイトル通り。実際は、愛の裏返しとしての憎しみもあったりします。仲の良い母娘が、娘の結婚を機に離れて暮らす。娘は結婚の夢に破れ、そして病気で子供たちを残して若くして亡くなる。簡単に書いてしまえば、これだけのあらすじなのです。

しかし、30年間にわたる普通の一家の、いろいろなエピソードの積み重ねの中に、誰もがどこかで自分を重ねていくのです。そして、様々な感情がぶつかり合って、最後に本当にわかり合える。でも、そのときには、若い娘の方に寿命が残っていないというあまりに過酷な運命。

この臨終のシーンで泣けないわけがない。「愛と青春の旅立ち」でブレイクしたデブラ・ウィンガーが、死んでいく娘役で、これもまたいい。親が子を思う気持ち、そして子が親を思う気持ちの両方が見事に凝縮し、さりげない演出が涙を誘います。

アカデミー賞では、作品賞、監督賞、脚色賞、主演女優賞の他に、ずっとシャーリー・マクレーンを支えていたジャック・ニコルソンが助演男優賞も獲得しました。

涙を誰かに見られても恥ずかしくない一本として、是非お勧めしたい映画です。