ガーディナーにはまって、声楽付きの音楽がだいぶ聞けるようになって来ました。ガーディナーは、もともと学生時代にモンテベルディ合唱団を結成し、今に至るわけですから、古楽というより声楽が最もベースにある人です。
以前にも、モンテベルディ合唱団のアカペラのCDを紹介したことがあって、一人一人がソロで歌う事が多いオペラと違って、合唱はけっこういけるんです。
レクイエムから始まった声楽の道ですが、今回はとにかくキリスト教の音楽を理解する事を一緒にするように努力しています。やはり、キリスト教自体がある程度わからないことには、どうもとっかかりがつかめない。
それに楽曲の呼び方も複雑で、似て非なる呼称がいろいろあったりして、このあたりの整理から入らないとなんのこっちゃ状態になる。
キリスト教の基本的に典礼にそくした音楽がミサ曲。その中で、特に死者に対するものがレクイエム。カンタータは器楽伴奏付きの声楽曲全般をさしますが、特に教会で教会暦にのっとって演奏されるものが教会カンタータ。それ以外を世俗カンタータと呼びます。
カンタータには独立した器楽演奏部分が含まれるのですが、器楽が入らず、あったとしても最低限の伴奏にとどまる合唱曲をモテットというようです。
偉大なるバロックの大音楽家であるJ.S.バッハは、明らかにカンタータを中心に作曲活動をした人で、膨大なカンタータの量からするとモテットはわずかに6曲だけ。
ところが、ほぼアカペラといってもよいポリフォニーを特徴とする合唱は、こりゃそうとう難しそう。伴奏でのごまかしがききません。だいいち、途中で休んでいる時間がない。
そこんとこを、さすがの実力で聞かせてくれるのがモンテヴェルディ合唱団です。とにかくハーモニーの美しさは、おそらく世界一と言っても過言ではない。
天国から流れてくる音楽があるとしたら、まさにこんな感じなのかもと思ってしまいます。でも、ゆったりしたものだけでなく、テンポのあるものもあり、けっこう飽きません。
ポリフォニーの特徴である、いろいろな独立した旋律が複雑に絡み合うところも、濁りや崩れが無く、切れ目のぴたっとあったところはガーディナーの統率力全開で見事です。
あとは歌詞の内容まで理解できれば完璧なんですけどね。ネットで対訳が見つかるので、合わせて楽しむのが、非ドイツ語圏かつ非キリスト教徒の正しい楽しみ方かもしれません。