2014年3月22日土曜日

リウマチを心配している方へ

関節リウマチを心配する方は少なくないわけで、たくさんの患者さんが手や足の痛みがあると病気を心配するものです。

もちろん、関節リウマチはれほど多いわけではないので、大多数は使いすぎ的なや、加齢性の変化によるものだったりするのですが、それを単純に自分で判断するのは難しい。

ネットの時代になって、いろいろな情報を得ることが簡単になりました。そういう自分も、ホームページやこういうブログで情報を発信しています。

ところが、ネットの情報の正確性については、ほとんどの場合なんの担保もされていないものがほとんど。いくらなんでも、これはいかがなものかと思うようなものも見かけます。

知識がある場合には、それらを取授選択してうまく活用することができるのですが、そうでないと結局いろいろな情報に踊らされるだけになってしまうものです。

情報過多はかえって混乱を招くだけで、関節リウマチを心配する人は、もう自分はこの病気があるに違いないと考えてしまう。あれも、これも、全部自分に当てはまると思ってしまうのです。

医学全般に言えることですが、人を見ないと個人の病気の話しと言うのはできません。ネットワークを用いた遠隔診断のような技術は、ずいぶんと以前からあります。しかし、いまだにそれほど浸透していないのです。

特に関節リウマチは、100人いれば100種類の発症があると言いたいくらいの病気です。後からみると、あれもリウマチだった、これもリウマチだったみたいなところがある。

教科書に書かれるような典型的な症状が、いきなりそろっていることはほとんどありません。まして、発症早期ではなおさらのこと。

昨日から痛いというような場合は、まず話や診察だけでは判断のしようがない場合がほとんど。検査を行い、疑いがあれば注意深く経過を観察するしかありません。

関節リウマチを心配する方に、是非知っていてもらいたいことがいくつかあります。是非、チェックをしてみてください。

まず、診察で疑いを持つ場合というのは、痛みがある場所に理由が無い事。ケガをした、あるいはしたことがない。使いすぎたわけでもない。

痛みの場所は一ヶ所でも複数あってもいいのですが、重要な事は腫れているかどうか。反対側あるいは、近くの関節の比べて、厚みを感じるか。赤くなっていたり、動かさなくても痛みを感じる場合は、特に心配したほうがいい。

そして、手の指の場合ですが、指の付け根の関節の症状は心配して、先端の関節になるほど可能性は低くなります。ただし、指の付け根の関節でも手のひら側だけの痛みはね圧倒的に腱鞘炎(使いすぎ)であることがほとんど。

家族にリウマチ患者がいる場合は、リスクになりますが、いわゆる「遺伝病」ではありません。必ず自分も発症すると、心配しすぎないようにしましょう。

そして、じゃあどこに受診するかということが問題ですが、少なくともリウマチ診療は進歩が著しい領域で専門性がどんどん高くなっているので、一般の内科や整形外科が診断・治療するのには無理があります。


しかし、残念ながら病院であればリウマチ科を標榜することは自由で、広告が厳しく制限されている医療の世界では、なかなか一般の方がリウマチの専門家を見つけることが難しいのが現状です。

そこで大事なのが、ネットの情報をうまく利用する事。日進月歩のリウマチ学に関係する病院は、いまどきネットを必ず利用しているものです。

ホームページの内容の正確度はともかく、リウマチについて多くを発信しているところは当然ある程度自信があるはずです。口コミ情報は、マイナス情報も多くあるので、注意が必要。

自分のような整形外科出身のリウマチ医と内科出身のリウマチ医がいることも、患者さんが困ることの一つ。専門性が確認できれば、どちらでもいいと思いますが、それぞれに専門のなかでも得意・不得意があります。

病院か診療所かというのも悩むところ。原則として関節リウマチ診療は外来で行うものですから、入院設備の有無は重要ではありません。基本的な治療は診療所で行い、重症な場合や合併症の問題がある場合に大きな施設にいくという流れが主流になりつつあります。

これらがすべてではありませんが、「リウマチが心配」と相談された場合に、このくらいのアドバイスはしたいと思うところです。心配を膨らませすぎて、不安ばかりにならないように、役に立てばと思います。