キリスト教の新約聖書の中、特にルカ福音書に、天使ガブリエルがマリアにイエスを身ごもった事(処女懐胎)を告げるという話があって、これを一言で「受胎告知」と呼びます。
その日を記念して、キリスト教、特にカトリックではその日を「マリアお告げの日」として年間を通して固定した休日としています。
それが今日、3月25日。自分はクリスチャンじゃないので、もちろん休みではありません。キリスト教では、キリストの受難に思いをはせて静かに暮らそうと言う四旬節の真っ只中。
教会の音楽も、四旬節の間はお休みでしたが、今日だけは例外。そこでこの日に関連したJ.S.バッハのカンタータは、作品番号でBWV1という最初の番号を付された「Wie schön leuchtet der Morgenstern(暁の明星のいと麗しきかな)」です。
それと単独の曲として「聖母マリアの祈り」に曲をつけたのが「Magnificat(マニフィカト、我が心、主を崇め)」と呼ばれるもの。基本的には様々な作曲家が作っていて、もちろんバッハも作りました(BWV243)。
マニフィカトは直接的に「マリアお告げの日」のためのものではないようですが、ルカ福音書の受胎告知にからんで登場するエピソードなので、とりあえずあわせて聴いておくのが適当のようです。
美術でも受胎告知は格好の題材で、特に有名なのはダ・ヴィンチの描いたものでしょう。10年くらい前に上野で展示されたとき、だいぶ並んで本物を見ました。
遠めで見たときは、思ったより大きくない絵という印象でしたが、近づいていくにつれて、あふれ出てくるエネルギーに圧倒されるような感覚にとらわれました。
異教徒にとっては、今日はキリスト教の中でのマリア信仰というものを、芸術のジャンルから知るためのきっかけにするのにいいかもしれません。