昨日は、医師会の「平成26年度診療報酬改定講習会」というものがありました。2年毎の診療報酬改定、つまり保険医療の定価の改定に合わせて、それを周知徹底させるための講演会で、出席は暗黙の強制があるような無いような微妙な会。
資料が配られ、檀上に講演する方がいるのですが、中身は資料を読むだけであまりその場にいる必要が感じられない(資料を用意する努力を短時間でした講演者の方には申し訳ないのですが)。
これは、厚労省の最終決定がいつも遅い、ぎりぎりまで正式の発表がないということと、あいかわらずどう解釈していいのかわからない日本語とは思えないような、「お役所文書」の羅列が大きく影響しているんでしょうね。
ですから、結局実際の改定がされた4月以降に、山ほどの疑義解釈本が登場してきて、昨日の講演でもそちらを必ず見ましょうという説明が多かった。文章をわかりにくくして、どうにでも都合のいい方にもっていこうとするのは、日本の政治の伝統ですかね。
具体的なところでは、一般の方には初診料と再診料の値上げが一番大きな変更点。多くの3割負担の方の場合、 810円だった初診料は850円、210円だった再診料が220円になります。
これに通常いくつかの管理料とか加算とかついてくるので、もともと単独の値段ではありませんが、よけいに数十円かかるようになるというところ。薬の値段は、別に薬価というもので規定されていて、いつもだと下がる一方ですが、今回は消費税分の約3%の上乗せになっているものもかなりある。
在宅医療は、あいかわらず試行錯誤。今回も新しい項目がたくさん登場していて、介護保険とのからみで複雑でわかりにくい。ただ前回までは、できるだけ多くの医療機関を在宅医療に参入させようとしていた感じですが、今回はちょっと違う。
企業が医療に参入しやすくして、自由競争的な部分が増えていたのですが、逆にそれが不適正な医療行為を誘発したと言われています。そこで、いきなり点数を下げた項目が目立ちます。
一部の企業団体のせいで、多くの在宅に力を入れようとしてきた診療所レベルでは大打撃で、在宅を撤退しようかという話も少なくありません。いずれにしても、在宅部分は今後も高齢化社会の中で膨らんでくる部分ですから、ここにかかる医療費の抑制もどんどん増えてくるのかもしれません。
結局、全体でプラス改定ということですが、実際には消費税増税分を上乗せしただけのゼロ改定。政府は企業にベアを強要するような発言をしているのですが、医療に関してはベアはありません。
なんにしても、末端の医療機関や患者さんは出るものが増えるだけで、ますます医療環境は厳しい時代に入っていくんだろうなと思いました。