イースターと言ったほうが、日本では何となく通りがいい。とりあえず、何かの西洋の祭りで、卵にいろいろ色を塗って遊べる。ディズニーランドでも、特別企画があって楽しいらしい。
ところが、キリスト教としては大変重要な祭りであり、十字架に磔刑になって3日目にイエス・キリストが復活した日を記念するものなのです。今年は今日が第一日、明日、明後日までのお祭りになるわけです。
実際にキリストが復活したのはいつなのか・・・もっとも、医学的に考えればあり得ない話になってしまいますが。とりあえず、ユダヤ教の過ぎ越しの祭りの始まりあたりということになっている。
過ぎ越しの祭りは、ユダヤ人がモーゼとともにエジプトから脱出する際、生贄の子羊の血を塗ったユダヤ人の家を過ぎ越して、塗っていないエジプト人の家に神が災いをもたらしたという話からきているそうです。
キリスト教では4世紀に会議の中で、キリスト復活は、春分の日の後の、最初の満月が過ぎた、最初の日曜日と決めました。このため、3月下旬から4月下旬までの期間で復活祭は変動することになりましたが、必ず日曜日になるという。そこから逆算して、磔になった聖金曜日などの教会暦が決定していくことになります。
とにかく復活したキリストは、今日から40日間の間、神がかった更なる布教活動をした後、昇天して神となるわけです。キリストの誕生とともに、第二の誕生日とも言えるイースターは、キリスト教の中では重要な祝日だということで、音楽としては、当然J.S.バッハのカンタータはいくつかあるわけです。
第一日の日曜日のためのものは、
BWV4 キリストは死の絆につきたまえり
BWV31 天は笑い、地は歓喜す
BWV249 復活祭オラトリオ
第二日の月曜日のためのものは、
BWV6 わがもとにとどまれ、はや夕べとなれば
BWV66 よろこべ、汝らの心
そして、第三日の火曜日のためのものは、
BWV134 イエスによりて生くるを悟りし心は
BWV145 立てわが心よ!主の日なり
BWV158 平和汝とともにあれ
BWV249はオラトリオと分類されていますが、40分程度でオラトリオとして短めで、長めのカンタータという感じですが、バッハの復活祭の音楽としては、中心をなすものとと考えてよいでしょう。
キリストの悲劇を歌い上げる受難曲と打って変わって、復活を祝うわけですから、出だしからしてまったく違う。金管のファンファーレのような明るいきびきびした音から始まり、いかにもうきうきわくわくする曲調です。
ガーディナー先生は、実は昨年やっとCDを録音しており、今のところ最新作が復活祭オラトリアの演奏です。昨年の実演は、YouTubeでも見ることができるので、視覚的に入っていきやすい。
バッハ以外の復活祭関連の音楽としては、古くはシュッツのものが有名ですが、実はバッハよりも世界中で知られているのはヘンデルの「メサイア」ではないでしょうか。
メサイアは救世主の意味で、もちろんキリストのこと。キリストの生誕、受難、復活というポイントをおさえた長大なオラトリアで、少なくとも「ハレルヤ」だけはやたらと有名で、これを知らない人は日本人でもいないでしょう。
ヘンデルはイギリスに帰化した人で、宗教関連曲としては珍しく、この曲の歌詞は英語で書かれている。後にモーツァルトがドイツ語版を作ったりしていますが。
ハレルヤ合唱に感動したイギリス国王が立ち上がったため、以後スタンディング・オベーションが生まれたとか、この曲に感動したハイドンは、「天地創造」を書き上げたというような逸話もあったりします。
とにかく、聴いておくべき曲が多すぎて、先週から忙しくしょうがない。だいいち、受難曲も一度聴いただけみたいなところで、まだよくわかっていない。期末試験で次から次へと科目があるので、勉強が間に合わず、どんどん積み残しが増えている学生のような状況です。