2014年4月26日土曜日

我らがイエスの四肢

1年間の教会暦にしたがって、J.S.バッハの作曲した教会カンタータを順番に聴いて行こうという試みは、ネット上を検索してみると、けっこうやっている人がいて珍しいものではありません。

たいていは、合唱団に参加している方、キリスト教徒の方など、直接的な関係がある場合が多く、知識ゼロという方は少ないようです。

自分のように、宗教音楽にはまったくのド素人 - というより声楽に苦手意識がある上に、ほぼ無信仰というのにこんなことを始めるのは、無茶が過ぎるという感は否めない。

バッハの教会カンタータはおよそ200曲あって、ぼけーっと聴いていると、どれも同じに聞えてしまいます。そもそも、毎週教会で演奏されるために新曲を何年にもわたって書き続けるわけですから、いくらバッハでも、そうそう毎回万全の準備はできなかったはず。

そこで、他の曲からの流用や使いまわしというところも多々あるらしいのですが、そういうのを「パロディ」という表現で呼び、熟知しているベテランになるとカンタータの重要な楽しみ方の一つらしい。

自分は、当然のようにわからない。これはロ短調ミサのあれと一緒とか言われても、そもそもロ短調ミサを聴き込んでいないわけですから。

とにかく、とんでもない目標を立ててしまったものだと思っても、ガーディナー先生のカンタータ全集を買ってしまったので、56枚もあるCDをただ聴いて行くのではつまらない。

他にところに寄り道している暇は無いのですが、カンタータだけでは飽きてしまいそうなの出、この際教会で使われる音楽全般も少しは勉強しておこうと、さらに欲張っています。

J.S.バッハより遡る事半世紀前のドイツの作曲家、ブクステフーデという人がいます。もともとバッハより古い作曲家なんてほとんど知らなかった自分としては、最近知ったばかり。

オルガン作品がけっこう有名ですが、声楽曲、いわゆるカンタータに近い継代の音楽も多数残されている。その中で、おそらく録音も多いのが7つの連作カンタータで、タイトルは「我らがイエスの四肢」

これは十字架に磔刑とされたイエスの体について、「足について」「膝について」「手について」「わき腹について」「胸について」「心について」「顔について」という具合にキリストの体を愛おしく謳いあげて行くもの。

バッハほど、盛り上がるわけではなく、淡々と歌い進められていく感じは、より宗教的といってもいいかもしれません。当然、我らがカーディナー先生の録音もあって、主役のモンテヴェルディ合唱団の美しい歌声を堪能できます。

ただし、残念ながらとっくに廃盤なので、amazonとかの中古でないと手に入りません。現在、比較的手に入れやすいのは、鈴木雅明の率いるBach Collegium Japanによる演奏。

当然、鈴木雅明は日本人で、日本人が主体の演奏団体で、最近完成したバッハの教会カンタータ全集は、世界的にも絶賛されたもの。同じ日本人なのに、ここまで入り込めることに感心するしかありません。

曲によって、ガーディナー盤より早いものもあれば、遅いものもありますが、合唱人数は鈴木のほうが少なめな感じですが、より歌がはっきりしているかもしれません。

キリストの受難については、大人数では聴くにはバッハ、でも家で一人で耳を傾けるにはブスクテフーデのほうが向いているかもしれません。いずれにしても、そこのところをしっかりとおさえておくことで、その後の復活の感動も大きくなると言うものです。