宗教音楽初心者としては、そうは簡単に底は見えてこないわけで、どんどん深みにはまって行く自分が・・・
そんなわけで、どうしても理解を深める必要があることの一つが教会暦。そして、もう一つ歌詞の内容なんですが、バッハのプロテスタントの場合はドイツ語が主で、カトリックでは歌詞は原則としてラテン語。
日本の医学では、昔はドイツ語が主流でしたが、戦後はどんどん衰退して、いまや英語オンリー。自分も、ドイツ語は基礎科目としては必修でしたが、めっぽう成績は悪かった。
実は解剖学で用いる正式な単語はラテン語なので、たしか解剖学の講義が始まったときに数時間ラテン語の授業があったんですが、 当然のことながらまったく頭には残っていない。
つまり、宗教曲を聴いていくためには、これらの異国の言語、しかも古典の世界を理解できる語学力が必要となるわけで、こればかりはそう簡単にはいきそうにない。有名曲で例外的なのは、唯一ヘンデルの「メサイア」の英語くらいではないでしょうか。
とは言っても、もちろん縦横無尽に会話ができる必要はない。使われる単語は、比較的限られていますし、そもそも聖書からのテキストを利用するので、歌詞も似たようなものが多い。合唱団に入って自分が歌うわけではありませんから、そのあたりは割り切って、最低限の単語だけはおさえておこうという安易な考えなのです。
ネットというのは便利なもので、いろいろ探していたら東大の分生物学の先生が「ラテン語宗教曲、単語の意味と日本語訳」というすごいものをPDFで提供していました。 通常ミサ曲、レクイエムに出てくる言葉の解説としては、必要十分な労作です。しかも、おまけでバッハの「マタイ受難曲」の和訳までついている。
これを流し読みしておけば、大雑把な事柄はつかめるので、大変たすかる。CDを日本盤のみで揃えれば、それぞれに解説や対訳が日本語でついているんでしょうが、何しろ安い輸入盤をamazonやHMVで購入しているので、CDだけではなかなか理解できるもんじゃありません。
そこで、やはりある程度の日本語の資料というものは必要なわけですが、曲を聴きながら歌われている内容も理解しようとするには、さすがに無料のPDFだけでは物足りない。
そこで、いろいろと探してみたわけで、その中から2冊の本をあわせて購入しました。最初に買ったのが、「対訳J.S.バッハ声楽全集」というもの。
これは、一般的なバッハの声楽曲すべての対訳と簡単な解説になっています。補遺として追加もあるのですが、そちらに収載されているものはほぼ聴く事がないものばかりなので、本編一冊で十分でしょう。
カンタータが教会のものも世俗のものも、すべて載っているところがうれしい。なにしろ、ガーディナー先生のカンタータ全集(もちろん輸入盤)を中心に聴いていこうとしているので、 大変助かります。
ただ、B5サイズで600ページ近いので、持ち歩くにはしんどい。当直のときなどに、持って行きたいので、さすがにこの大きさは厳しいところ。
それと、バッハ作品に特化しているので、他の宗教曲を聴くときには、ほとんど役に立ちません。そこで、どうしてももう一つ探していて、見つけたのが「宗教音楽対訳集成」というもの。
こちらは、ラテン語のカトリックのミサ曲、レクイエムのほか、代表的なタイトルを網羅している。さらにバッハのマタイ、ヨハネ、クリスマス・オラトリア、ヘンデルのメサイア、ブラームスのドイツ・レクイエムまで対訳を載せています。
こちらはA5サイズで350ページで、まぁ持ち歩ける大きさ。これだけでも、なかなかのボリュームですが、宗教曲初心者がちょっと知りたいことが、たいてい見つかるすぐれものです。
四旬節で教会音楽が休みなのも、あと1週間。その後は怒涛の聖週間が始まり、いきなり大曲の受難曲をがしがし聴いていかないといけないので、とにかくより深く楽しむための勉強をしておかないといけない。
金太郎飴のような世界から脱皮できるかどうかは、このあたりの知識の整理にかかっていそうです。