♫ 争う人は 正しさを説く
正しさ故の 争いを説く ・・・・
最近、テレビから流れてくる「音」の中で、ひときわ耳に残るものとして、Earthという女性ファッション・ブランドのCMがあります。
以前より、女優の宮崎あおいが登場し、比較的静かなイメージのCMが多く、いろいろな意味での環境のなかにうまく溶け込んでいくナチュラルさを売りにしていたように思います。
過去にはThe Blue Heartsの曲を、宮崎あおいが一人で歌ったりして、もともとの歌から激しさをそぎ落としたCM作りが特徴だったように思います。
この秋から流れているCMは、打って変わって、草原で宮崎あおいをはじめとしたたくさんの世代の女性が立っていて歌を歌うというもの。
一人一人の動きは無いので、画像としては従来の「静」のイメージは残るものの、合唱という形で音を前面に出してきたところが、ある意味「動」であり、またその歌の内容が注目されます。
ネットではこのCMに対する反応はかなりあるようで、自分も含めて「このCMは何を言いたいのだろう?」と思った人がたくさんいるということ。ちょうどタイミング的に、安保法案がらみと受け取る方もいるようですが、当然CMが作られたのはだいぶ前でしょうから・・・
歌は「Nobody is Right」というタイトルで、作詞・作曲は中島みゆき。中島みゆきの曲とわかると、その歌詞とかについては、なるほどって納得してしまう。現代では良質なメッセージ・ソングを作れる日本の音楽家は、彼女以外にはいないと言っても過言ではありません。
自分の正義を主張し他人を否定してしまうと、自分の周りは嫌なひとばかり。それでは毎日辛いし、そんな一生は寒い。正しい人なんていないと、歌いかけてきます。
自分を主観的に考えるのではなく、客観的にとらえた歌。正しさ、あるいは常識という言葉でもいいかもしれません。人それぞれには、別々の価値観というものがあって、どれが絶対的に正しいというものはありません。正しいというのは、ある特定の集団の中で相対的な価値観です。
中島みゆきは、価値観の違いを認めることで、より暮らしやすくなるということを歌いたいということなんだろうと。今の日本が、個人個人の先鋭化が目立ち、昔ながらのベタな言い方をするなら「助け合い」の精神が薄れていることを指摘しているのかなと思います。
ですから、この歌を今CMで宮崎あおいに歌わせる意味は、反戦的なメッセージと受け取るよりも、それぞれの趣味嗜好を認めて、もと広く大きく人や環境と融合していくような社会、あるいはブランド・イメージを提唱しているということなんだろうと思います。