2015年10月7日水曜日

胸部単純レントゲン写真


胸のレントゲン写真は、画像検査の勉強の中では基本中の基本ということに異を挟む医者はいないと思います。

何故なら、心臓、肺、血管、骨などのいろいろな要素があって、画像診断の上で見るべきものがたくさんつまっている。

黒く写っているのは空気。その中に真っ白いところがあれば、肺炎とか癌とかわかりやすい。でも、そういうわかりやすい病変は、いつでもあるわけではないので、けっこう細かいところまで隅々を一瞬で判別しないといけないのですから、やはり奥が深いというものです。

例えば、左右の一番下の角。肺の空気が黒く鋭角に写っていますが、これが鈍角になっていれば胸の中に水がたまったサインになります。

上の方で、血管の細かいすじ状の線が見えないと、肺がつぶれる気胸になっているかもしれません。

慣れた医者は、ほぼ数秒で様々な異常をみつけるものです。これはすごいことで、コンピュータがこれだけ発達していても、そんな芸当ができるシステムはいまだにありません。

それだけ、人間の脳の機能はすごいということで、少なくとも医療の分野でコンピュータが人にとって代わるということは、そうそう易々とはできないだろうと想像します。

同じビルに入っている小児科から依頼されてこどもの胸部を撮影することがありますが、涼しくなってきたせいか最近増えてきた。また、その中でも異常がある頻度も増えています。ただし、小児科の場合は、自分で診療にあたるわけではないので多少気が楽。

開業医で、特にリウマチ診療に力を入れていると胸部のレントゲンを見る機会が増えました。リウマチ診療では、肺の病変が合併症や薬の副作用として出現する危険がつきまといます。こちらは、自分の責任が重いことですから、見逃すわけにはいきません。

最近、聴診器を新調しました。10年間使ってきたので、リフレッシュしたくなったんですが、普通の整形外科医ならまずありえないことだろうと思います。病院勤務の頃とは、ずいぶんと変わったなと思うところですかね。