癒し系歌姫の大本命といえば、全世界的にエンヤ・・・ただ、そんな安っぽい説明で片づけることができない、独自のenya world。
自分とほぼ同世代で、アイルランド出身です。1986年デヴューで、すでに30年のキャリアがあるにもかかわらず、大変手間のかかった作品作りをしているために、一作にかける時間はかなり必要なようで、今までに出されたアルバムは9枚。
昨年末の新譜が"Dark Sky Island"で、実に前作から7年ぶり。多重録音によるenya自身の重厚なコーラスと、アコースティック楽器を基調としてシンセサイザーをさりげなく多用するサウンド、さらに音楽空間の広がりを増すエコーを多用した音作り・・・独自のenyaらしさが目一杯詰まっていました。
別の面からみると、似たような音楽ばかりという感じ方もあるわけで、もしも毎年のようにアルバムが出ていたら飽きられてしまうかもしれません。数年ごとに、そろそろenyaを聴きたいなと思う頃に、新譜が出てくるこのペースは、聴く側の波長とも合っているかもしれません。
とにかく、どうのこうのと批評するような必要は無い、ただただ目を閉じてenyaの世界に入り込むだけで、気持ちが落ち着くわけです。何かとんがったことがあっても、enyaの音楽を聴くと、気持ちが落ち着いて優しい感覚に包まれる。
最先端のテクノロジーを多用しているのに、まったくそれを感じさせないナチュラルなイメージを作り上げている一番のポイントは、やはりenya自身の声質にあるんだと思います。女性としては低域で、わざとらしいビブラートは使わず、とても安心する安定感があります。
今回は、新作までの期間がさらに長かったので、こちらもenyaのペースに合わせて、少しずつ長く長く楽しみたいと思います。