11月9日はベルリンの壁崩壊の記念日です。正確には、「壁崩壊が始まった日」ということで、最終的に東西のドイツが統一されるのは約1年後のこと。今年は30周年に当たります。
アバドがベルリンフィル就任記念演奏会を行った1週間ちょっと後、1989年12月25日のクリスマスに、壁崩壊を祝う歴史的なコンサートが行われました。
それが、レナード・バーンスタインの指揮によるベートーヴェンの交響曲第9番(合唱付き)の演奏会でした。
すでに、あちこちで取り上げられている話題ですから、細かいことは書きませんが、音楽史上の名演とは言いませんが、政治色の観点からこれほど感動的なコンサートは他に無いと言えると思います。
ポイントその1
東西ドイツのオーケストラ、合唱団、ソビエトのオーケストラ、アメリカのオーケストラが臨時に集結して編成されたメンバーで演奏された。
ポイントその2
ユダヤのルーツを持つバーンスタインが、すでに癌により健康面に不安があったにもかかわらず、渾身の指揮をとったこと。
ポイントその3
最大のポイントは、バーンスタインによって、第4楽章のシラーによる「歓喜の歌」の歌詞で、"Freude(歓喜)"を “Freiheit(自由)”に変えて演奏が行われたこと。
演奏会が行われた場所はシャウシュピールハウスで、現在はコンツェルトハウスと呼ばれ旧ベルリン交響楽団、現ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の本拠地。
実は、シャウシュピールハウスはベルリンフィルハーモニーの東に位置していて、2kmと離れていない。しかし、世界混成オーケストラにはベルリンフィルは参加していません。カラヤン=BPOとの確執がいろいろと言われていたバーンスタインということだとしたら、ちょっと残念ではありますけど。