2019年11月25日月曜日

Pierre Boulez / Mahler Symphony #2 (2005)

一度気になりだすと、とことん深入りしてしまう性質なもんで、本当にこの2カ月くらいは音楽というとマーラーばかりを聴き倒していました。

初めはマーラー初心者が必ず抱く感想・・・長い、うるさい、大袈裟、難解などなど、まさにその通りの印象で、これが好きな人の気が知れないみたいに思っていました。

幸い、映像付きで始めたので、まぁ何とか視覚的な面白さもあって、ガマンして見続けていると、だんだんマーラーの面白さがわかってきたようです。

何度も聴いているうちに、まずとりとめのないように思っていたメロディがだんだん頭に残るようになってきた。これが実にかっこいい旋律なんですね。いくつものかっこいいパートが絡み合って最後に盛り上がるところは、かっこいいの集大成状態。

その反面、さすがに優秀な指揮者だったマーラーだけに、一つ一つの楽器の特性をうまく利用したソロ・パートがたくさんあって、そこだけ聴いていると室内楽のような緻密さがある。

また、クラシック音楽ではほとんど目にしない、耳にしない楽器、あるいは楽器と呼べないような効果音のための大道具・小道具が満載で楽しいなんてもんじゃない。

さらにさらに、楽器だけじゃ足りずに歌までふんだんに出てきます。独唱あり、合唱ありでバラエティーに富んでいる。専門家がマーラーの交響曲は、交響曲という名を借りた音楽の総合芸術であるというのが理解できます。

いろいろな映像が手軽に楽しめる今の時代で良かったと本当に思いますし、これから聴いてみようという方は是非映像から入ることを強くお勧めしたい。

まとまった映像というと、交響曲10曲、大地の歌、歌曲集のほとんどを網羅しているのはバーンスタイン。40年以上たつ古い物になってしまいましたが、いまだに色褪せない魅力が満載です。

そして、われらがアバドのルツェルンでのチクルス。一部が不足してしまいますが、画質良し、音質良しで文句がありません。凄腕揃いのオケも見所・聴所満載です。

シャイーもゲバントハウスでいくつかあります。それぞれ違う指揮者でロイヤル・コンセルトヘボウの全集も楽しい。ヤルヴィ(子)の全集もあります。

今回おすすめしたいのは、ピエール・ブーレーズの「復活」です。全集CDのソロイストは、シェーファーとデヤングでウィーンフィルの2005年の演奏。ビデオは同じ年なのにオケはベルリン・シュターツカペレで、ソロイストもダムラウとラングです。

ベルリン・シュターツカペレは、とにかく美人が多い!! ・・・ってどこ見てんだよといわれそうですが、映像ではここも重要。ただし、メゾソプラノのラングが、ちょっとヴィジュアル的には・・・

最終楽章、合唱が入る直前のフルートとピッコロの掛け合いは、美人二人が素晴らしい。さすがにパユのうまさは文句ないけど、男性二人のルツェルンより見ていて嬉しくなります。

演奏は、非常に一つ一つの音符をきっちりと出すこと、そして休符を決めることでビシっとめりはりのある感じ。スピードも比較的早めの感じで、だれるところがありません。ちなみに客席にバレンボイム氏がいます。

些細なことは気にせず感情先行型のバーンスタインと比べて、適度な抑制のもとで全体の流れをきちっとまとめ上げながら盛り上げるアバド。ブーレーズは、感情に流されずに超まじめに楽譜を追いかけて、楽曲の構造を明らかにする演奏という感じでしょうか。

いゃぁ~、マーラーって本当に楽しいです。