2019年11月18日月曜日

Otto Klemperer New Philharmonia Orchestra / Mahler Symphony #9 (1967)

正直に言いますと、クレンペラーも実は今まで聴いたことがありません。クラシック音楽については、自分にとってリアルタイムの演奏しか、基本的に聴いてきませんでした。

クレンペラーも、気がついたときはすでに故人であり、自分にとっては伝説の一人。今回、マーラーにはまらなかったら、一生聴かずに終わったかも。今のところ、フルトヴェングラーはそうなりそうな感じ。

さて、マーラーと直接面識があって、なおかつマーラーの録音を残した指揮者というと、そう多くはない。たぶん「元祖」はメンゲルベルク。コンセルトヘボウ管弦楽団の音楽監督として、マーラーをたひたび招聘していました。ただし、録音は第4番(1939)と第5番のアダージェット(1926)くらしか残っていないようです。

ブルーノ・ワルターは弟子みたいな存在。そして、クレンペラーは目をかけてもらった新人。クレンペラーの指揮者としての扉を開いたのがマーラーで、クレンペラーは一生マーラーに感謝していたようです。

とは言っても、ワルターより亡くなったのが遅い割にはあまり録音は残っていない。交響曲第9番は、唯一1967年にステレオ録音があります。

演奏はニュー・フィルハーモニア管弦楽団。フィルハーモニア管弦楽団は戦後すぐにEMIレコード制作のためにイギリスで結成されたオーケストラですが、実際にコンサートの実演も行っていました。1964年に解散の危機に直面した時に、クレンペラーの全面的な支援の下ニュー・フィルハーモニア管弦楽団として継続したという歴史があります。

さて、演奏はというと・・・意外にというか、録音年代を考えると当たり前かもしれませんが、普通のテンポで音質もまぁまぁで安心して聴ける。ただし、第3楽章はゆっくりめですがめりはりのある音作り。

第4楽章は、たっぷりと弦を鳴らすところは、今どきの演奏と比べても負けていません。全体には素直な演奏という印象で、やはりバーンスタイン後の主観的演奏とは一線を画するところが「古さ」を感じさせるかもしれません。

クレンペラーの手兵として実演もこなしてきたオケですから実力もしっかりしていて、ワルターのコロンビア交響楽団より格上という感じです。